1. 平成27年度に実施したハンダ付け実習授業(中学校2年生160名,鉛ハンダ)で回収した練習基板の解析及びデータ分析を行い,次のことを明らかにした:(1) 鉛ハンダでのハンダ付け良品率は82.8%であった.(2) 平成26年度に実施した同内容授業(鉛フリーハンダ使用)の結果と比較すると,標準偏差の範囲内でほぼ同等である.(3) 中学校学習指導要領解説技術・家庭編では「技術と社会や環境とのかかわりについて理解を深め」ることも目標とされているため,この目標に沿った実習授業を展開することができる. 2. 中学校技術教員及び工業高等学校教員を主対象とした講習のための教材を開発し,教員免許状更新講習を立ち上げて実施した. 3. 中学校及び高等学校で使用されている教科書を調査し,鉛以外の規制物質が部品・材料として取り上げられていることを見出した.これについての検討が今後必要であることを明らかにした. 4. ハンダ付けを伴わない簡易な電気配線の手法として,ゼムクリップを用いる配線方法を考案し,小学生を対象とした工作教室で実証実験を行った.その結果,小学校におけるLEDを用いた1時間の電気工作授業を実施できることを明らかにした. 5. 研究期間全体を通じ,以下のことを明らかとした:(1) 中学校でのハンダ付け実習を鉛フリーハンダで実施しても,従来の鉛ハンダと同等の成果が得られることから,学校教育におけるハンダ付け実習を鉛フリー化することが可能であることを明らかにした.(2) 小学校で利用可能なゼムクリップを用いた簡易電気配線手法を開発した.(3) 今後の課題として,鉛以外の規制物質を排除した教材及び教育手法の開発が必要であることを明らかにした.
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