研究実績の概要 |
本研究では大学生向けの数学教育に関する体系的なデータベースの構築と学習者と教育者の双方に有用な検索システムの開発を試行的に行い、大学数学教育コンテンツデータベースのあり方とその組織的運用についてのモデルを示すことを目指している。 平成27年度までで国内の大学レベルの数学教育に関するICTリソース自体が非常に不足していることが判明し、28年度はICTコンテンツ自体の開発と共有する仕組みについて検討した。その結果、教材の共有と再利用に適した形でパッケージ化したコンテンツを作成することが適当との結論に至り、28,29 年度はSTEM 教育のコンテンツについての共有を検討していた大学教育学会と連携しそのウェブサイトにおいて新たなコンテンツの開発と共有を行った。このコンテンツは1回の授業をベースとしたもので、授業タイトル、作成者氏名 、授業概要 、現実的問題、キーワード、授業の特徴、キーワード、授業展開例、ポイント・工夫、といった項目からなり、授業を行う教員が実際の授業で部分的にも活用が可能なものとなっている。多くの大学で活用されている LMS である Moodle を用いて作成されており、今後、多くの教員が自分のコンテンツをここで公開できる形にすることができれば多くの大学で活用可能となることが期待される。データベースについては大学教育学会で開発したコンテンツを含む形で国内外のICTコンテンツを対象者(レベル)、分野(代数、幾何、解析、統計・確率、融合分野、数学史等の教養的内容、その他)内容(問題演習、講義資料、授業公開(動画を含む))等のフィールドを作成し、それぞれの項目で検索可能なシステムとして構築したが、コンテンツが十分に集まらなかったため、データベースの実際の運用にまでは至らなかった。
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