研究課題/領域番号 |
26560097
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
木下 順二 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (70161023)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 物理教育 / 医学教育 / 能動学習 |
研究実績の概要 |
平成27年度後期に東京女子医科大学(以下女子医大)と東京医科大学(以下東京医大)で前年度に引き続き選択科目「人体の物理学」を開講した。履修者は女子医大で3名、東京医大では69名となり、特に後者では高校で物理を選択していない学生の割合が増加し、高校での履修状況の違いによる科目内容の受け止め方の違いについて、新しい知見を得ることができた。 前年度は2大学で同じ内容の授業を行ったため、授業時間が90分の東京医大では時間が余ることが多く、70分の女子医大では足りなくなることが多かった。今年度は内容を調整し、女子医大では質問数を減らすことで、東京医大ではグループ課題の難易度を調節することで、適切な時間配分とすることができた。前年度はグループ課題のレベルが学生にとって高すぎるものが多く、学生のみで解決することが難しい場合が多々発生したが、今年度は比較的課題の難易度を揃えることができ、学生の積極的な取り組みが見られた。 各分野において、演示実験あるいはスライドで例示する教材作成のための実験を整備しつつある。ビデオによる動作分析を行うソフトウェア、サーモグラフィ撮影装置、スペクトログラムの作成ソフトウェア、色識別能の検査装置、生体インピーダンス測定による体脂肪計など、人体に直接作用するような実験が準備できた。また、授業で用いた教材をWeb Site上で公開し、希望者にはテキストを配布して検討してもらっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の目標は、能動的学習にふさわしい教材を整備していくことであった。自習用の問題を開発・出題するためのソフトウェアを整備する予定であったが、2大学において、すでにe-Learningソフトが導入されているため、差し当たってそれを活用することにした。ただ、宿題として課していないために、予習してくる割合は75%程度にとどまり、内容もまだ改善の余地がある。概念を問う質問やグループ討論のための課題は順調に改良を進めることができた。 また、演示実験やグループ課題のテーマ、あるいは学生実験のテーマともなり得るような実験教材を購入・製作して、授業に試験的に取り入れている。「光と視覚」の章や「運動モデルとスポーツ」の章においては、良い実験題材を準備することができた。 開発したテキストを知り合いの医科大学の物理学担当者に査読してもらい、フィードバックされた意見をテキスト改良に生かした。また、講義の配布プリント、概念を問う質問、グループ課題など、作成した教材はWeb Siteで公開し、他大学でも活用できるようにしている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の目標は、教材の改良を進めるとともに、能動学習としての正確をより明確にするために方法の改良を行うことである。残念ながら東京医大では履修人数と教室の関係からグループ討論にふさわしい環境が用意できていないが、女子医大でその環境が整備できるように努力している。 最終年度としてのもう一つの大きな目標は、この科目の到達目標を明確にし、学習到達度を測定するためのPre/Post問題を開発することにある。まず到達目標については、医学教育モデル・コア・カリキュラムとの整合性をチェックしながらまとめていく。到達度を測定するためのテストの具体例として、すでに50題ほど完成している概念を問う質問をもとに開発していく。実施した質問の回答分析を行い、問題文の改良や選択肢の適正化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ソフトウェア購入を予定していたが、金額が不足したため次年度に回した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の補助金と合わせて有効に使用する。
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