前年度に引き続き、平成28年度後期に東京女子医科大学(以下女子医大)と東京医科大学(以下東京医大)で選択科目として「人体の物理学」を開講した。履修者は女子医大で3名、東京医大で52名となり、後者では男子学生も多く履修したため、男女による科目の受け止め方の違いについて知見を得ることができた。 特に女子医大では履修者が少人数であったため、実験的に新しい教材を授業の中で活用し、学生の反応を見ることができた。実験種目を各章ごとに開発する目標を掲げていたが、予備実験を行えたことで、予算的裏付けが得られれば実現できる目処が立った。また、グループ討論や個人課題で用いる人体関連の基礎データを、原典に当たって再度吟味し、適切な取り扱いができるような資料を作成して授業で用いた。これは近々WEBで公開する予定である。 医療系の物理の到達目標を設定して到達度テストを開発するという目標については、物理学会のインフォーマルミーティングで呼びかけ、プロジェクトとして取り組むメンバーが集まったところである。当該年度中に、医学教育モデル・コア・カリキュラムの暫定案が示され、その中に従来準備教育モデル・コア・カリキュラムに含まれていた物理に関する項目が40項目ほど入っていたため、その内容への対応を急遽検討することになった。しかしながら、医学教育モデル・コア・カリキュラムの最終案では、物理系の項目は全て削除されたため、そのような中途半端な対応ではなく、再度ゼロから医学に必要な物理系のカリキュラムを検討していくことになった。
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