研究課題/領域番号 |
26560098
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
若林 尚樹 東京工科大学, デザイン学部, 教授 (40254586)
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研究分担者 |
田邉 里奈 千葉工業大学, 工学部, 助教 (50386786)
政倉 祐子 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 助教 (60468915)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 科学教育カリキュラム / ワークショップ / 設計要件 / 評価手法 |
研究実績の概要 |
これまで実施して来た予備実験による分析をもとに、ワークショップを工作型、ツアー型、レクチャー型と、それらの組み合わせによるプログラムに類型化し、そこからワークショップを構成する要素を抽出した。その結果、「導入」「レクチャー」「観察」「制作(工作)」「振り返り」の5つの工程がワークショップを構成する基本的な工程として設定することができ、それらの組み合わせや実施の順序によってさまざまなワークショップの設計が可能なフレームワークとして活用することができることがわかった。 平成26年度はすみだ水族館で8回、京都水族館で10回、その他の施設で2回、の合計20回のワークショップを実施し、約290名の参加者を対象とした評価実験をおこなった。これらは水族館における水棲生物を対象とした科学教育を目的とするワークショップで、レクチャー+工作型のプログラムを基本とするものである。また、評価実験においては、ワークショップ相互の関連性を体系的な視点から評価するために「子どもSD法」による評価手法の研究開発を行った。 若林と田邉は研究協力者であるすみだ水族館および京都水族館の企画担当者とともに、それぞれの水族館におけるイベントの年間計画をもとにワークショップの企画設計と実施を行った。これらを通してワークショップのフレームワークおよびデザインガイドラインの検討を行い、それらが設計をする上で有効であることがわかった。また、政倉は参加者であるこどもの行動特性などをもとにしたあらたな主観的評価手法「こどもSD法」として「気持ち温度計」の基本設計を行い、若林と協力して調査の実施、分析を行った。その結果、この評価手法が子ども本人によるワークショップの客観的な分析評価のためのあらたな手法として有効であることがわかった。これらの結果はデザイン学会、感性工学会など関連する学会や研究会等で計5回の発表を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度にはすみだ水族館と京都水族館の協力のもと、実証実験として7種類、20回のワークショップを実施することができ、約290名の被験者に対する「気持ち温度計」による評価を実施した。これらのワークショップは構成要素として抽出した5つの工程による「レクチャー+工作型」の同じタイプのワークショップである。対象とする水棲生物やテーマ、観察のポイント、工作などのワークショップの内容を組み替えながら、同じ構成のワークショップを実施することで、詳細な比較分析が可能となった。 また、主観的評価手法「こどもSD法」の開発としては、予備実験で行って来たワークショップの印象を構成する因子の抽出を行い、それをもとにワークショップの工程にそった参加者の印象の変化を継続的に計測する手法を考案し、それをすべての実証実験において実施し比較分析することで、ワークショップの内容による被験者の主観的な評価に傾向が見られることが明らかなになった。今後はこの手法の確立を目指し、さまざまな条件における検証をもとに検討を行っていく予定である。 以上のことから本研究のワークショップの企画設計,実証実験,評価分析による検証を実施するという平成26年度の目標はおおむね順調に達成されたとみることができる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度はタイプの異なるワークショップとの比較のため、5つの工程の組み合わせの違いや順序の変更による比較実験を行うとともに、水族館以外の他の展示施設でのワークショップを対象とした実証実験を行い、ワークショップを構成するフレームワークの検証をおこなう。それとともに「気持ち温度計」による比較評価を行い、その有用性について検証を行う。 そのために平成27年度の実証実験としてワークショップの実施計画をすでに策定し、協力いただく園館の年間スケジュールとして日程の確保をいただいている。それとともに、実証実験を実施しながら必要に応じた柔軟な実証実験の追加、変更も行いながら積極的に検証を行っていく。 また、それとともに関連学会や研究会などでの研究成果の発表を行うとともに、その成果をまとめた査読論文の執筆も行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は、当初予定していた京都水族館、およびすみだ水族館でのワークショップの予備調査や事前準備のための作業が実施施設の都合により変更となった。そのため予備調査や準備作業、および実施当日の実験スタッフの交通費、謝金等に変更が生じた。また、査読論文の投稿が平成27年度への延期となったためその投稿費用も繰り越しとなり、あわせて319,177円の繰越金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は実験結果の検証分析をより詳細なものにするための追加実験を予定しているまた、平成26年度に予定していた論文の投稿も平成27年度の予定に加え実施する予定である。それらの実施のために計画の予算に加え、平成26年度の繰越金319,177円も合わせて使用する予定である。 実証実験実施予定 1)5月京都水族館、2)7月上野動物園、3)8月すみだ水族館、4)10月京都水族館、5)12月すみだ水族館、6)3月すみだ水族館、7)その他追加実験を予定
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備考 |
ワークショップの実施計画や報告、これまでの学会発表や論文等を紹介するwebサイト
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