研究課題/領域番号 |
26560102
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研究機関 | 就実大学 |
研究代表者 |
福井 広和 就実大学, 教育学部, 准教授 (10708663)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 原体験 / 自然体験 / カルタ / 教員養成 / 自然体験指導者 |
研究実績の概要 |
本研究の最終目標は教員養成学部学生の自然体験の引き出しを大きくすることであり、そのために学生自身が自らの自然体験を認識し、補充するための教具を開発することである。平成26年度は理論的裏付けと現状把握のための自然体験想起調査の実施とツールとしての『原体験カルタ』の開発を行った。 まず、教員養成学部学生を対象にした自然体験想起調査であるが、延べサンプル数を当初の250件から4倍にあたる1000件に増やし、本当に学生の自然体験不足が起きているのか見極めた。その結果、原体験の8類型(火、石、土、水、木、草、動物、ゼロ体験)のうち「火体験」が他の自然体験に比べて不足していることが明らかになった。この結果をもとに原体験8類型を精査し、原体験データベース内容項目の適正化を行った。調査は選択式ではなく、あえて自由記述で行ったため、既成ではない子どもたちの自然発生的活動も拾い上げることができたことが本調査の大きな収穫であった。 次に、『原体験カルタ』については原体験8類型ごとの象徴的活動をリストアップし、45種の詠み句を決定した。また、詠み句に合わせてイメージイラストを作成し、原稿を電子データ化して制作業者へ発注し、平成27年1月に完成した。完成版のカルタを用いて、①楽しみながら自然体験の引き出しを大きくするための競技ルールの作成、②自然学習指導者が自らの課題を認識するための学修プランの作成・検討を行った。 『原体験カルタ』の有効性調査については、本調査実施受け入れ候補の3団体担当者と個人情報の取り扱い等に関する運用について現在調整中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、教員養成学部学生を対象にした自然体験想起調査については当初の想定通り延べ1000件のサンプル数を確保し、かつ、前年度の予備調査では把握していなかった原体験活動を新たに150件追加することが出来た。 『原体験カルタ』については、電子データの入稿書式が変更になり、対応するアプリケーションソフトの導入に手間取ったが、業者を変えることにより完成にこぎ着けることが出来た。業者の変更は予算額を押し上げ、カルタの納品数が予定より半減したが、本調査では運営方法を工夫することで予定通りの調査が行える見通しがたった。 本調査の実施受け入れ団体については、個人情報の取り扱い等で調整が必要であるが、運用マニュアルの共有化により実施できるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は「原体験カルタ」を用いて教員養成学部学生および自然体験学習指導者を対象に実践調査を行い、自然体験度認識ツールとしての教育効果を検証する。そのためにまず早急に調査実施団体を選定し、調査対象者への事前説明と協力依頼をしたいと考えている。 実践調査はインタビュー、観察調査、アンケート調査により行い、実施後データ解析を行う予定である。インタビュー調査のデータはテキスト化し、観察調査データは動画解析、アンケート調査は統計的に処理する。これらの調査結果から『原体験カルタ』が自然体験指導者の原体験度認知に有効であったかどうか検討し、「原体験カルタ」のマニュアルをブラッシュアップしたいと考えている。そして、自然体験学習指導者プログラムの学修モデル作成を本研究の最終目標として設定している。 研究成果については学会(会場等は未定)で発表し、学会誌等で公開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時の研究計画調書では、設備備品費として61千円、消耗品費として424千円を計上していましたが、確定額が物品費として330千円であったため、カルタ印刷の経費を優先して執行した。また、旅費についても山田卓三兵庫教育大学名誉教授との打ち合わせを最優先に執行した結果、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は教員養成学部学生および自然体験学習指導者を対象にした実践調査と学会における成果発表に焦点をあてて予算を執行したいと考えている。また、ホームページを製作して研究成果を情報発信することも計画している。
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