研究実績の概要 |
本研究の学術的背景はコメニウス,J.A(1592-1670)に始まる直観教授をその源流とし、近年の生活科教育における指導者の自然体験不足を直接の課題とした。本研究の最終目標は教員養成学部学生の自然体験の引き出しを大きくすることであり、そのために現状を把握しするとともに教具を開発し、学修ための実践モデルを構築することを目指した。 教員養成学部学生を対象にした自然体験想起調査の延べサンプル数を当初の250件から4倍の1000件に増やし、本当に学生の自然体験不足が起きているのか見極めた。また、項目別に分析することで、自然体験が分野ごとで偏りがあるのかどうかを明らかにした。自然体験度認知ツールとしての「原体験カルタ」を完成させ、教員養成学部学生および自然体験学習指導者を対象に実践調査を行い、自然体験度認識ツールとしての教育効果を検証した。そして、その結果をもとに「原体験カルタ」をより使いやすいものにブラッシュアップするとともに、幼少期の自然学習指導者が自らの課題を認識し、自然体験の引き出しを進んで大きくしようとしたくなるな学修モデルを作成した。 助成機関が2年間であったため、主に調査の実施と先行研究との照らし合わせ、および教材開発のための基礎考察に注力した。そのため期間内の研究成果は学内紀要2件、学会発表2件である。また、研究成果および研究協力者との交流を図るためのプラットフォームとしてホームページを立ち上げ、本科研で開発した教材(原体験カルタ)を公開している。なお平成28年5月現在科学教育学会と日本教育心理学会に発表すべく準備中である。 今後の展望として、幼少期の原体験からその発展として就学後の生活科・理科・総合的な学習の時間におけるブレンディッドラーニングの導入、およびそれらを主体的に担える保育者・教員の養成および現職教育を推進するカリキュラムの開発が重要であると結論づけた。
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