研究課題/領域番号 |
26560104
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研究機関 | 苫小牧工業高等専門学校 |
研究代表者 |
三河 佳紀 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20259782)
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研究分担者 |
渡辺 暁央 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00422650)
小野 真嗣 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10369902)
小薮 栄太郎 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60365690)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 工学教育 / 鉄道技術教育 / データベース / 安全教育 / 教育工学 / 鉄道工学 / 学際教育 / 国際化教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は北海道の高等教育機関における鉄道技術教育を構成する高専版の授業プログラムの提案を行うものである。平成26年度の研究実施計画では重点的に4点に絞り込んで計画を立案した。それぞれ次のとおりである。 A:本研究者間の国内最先端鉄道工学知識および技術例の共有,B:道央圏における鉄道運営例に関する実態調査,C:現行鉄道教育の実態調査,D:海外への日本技術輸出成功例の調査(調査準備) 本研究の研究実績は実施計画Aについては,研究分担者が日本機械学会2014年度年次大会に参加し,鉄道工学関係の最新情報の収集を行い,本研究者間での情報共有を行った。 Bについては,鉄道運営で最重要課題である安全運行における実態調査を道央圏に限定せずに北海道内全域について実施した。具体的には車両事故および車両トラブル等,人的要因事故およびトラブル,軌道トラブル等の発生状況をデータベース化しその傾向を分析した。調査は継続中である。 Cについては高等教育機関における鉄道工学開講状況の調査を行った。当該年度は高等専門学校について機械工学,土木工学,建築工学に関する開講状況を調査した。高等専門学校ではすでに鉄道工学として開講しているところは無く,関連する科目の中で教授していることが判明した。次年度は大学,短大を含め,その他の学問分野での開講状況を調査する計画である。 Dについては,研究分担者が次年度の台湾高規格鉄道の実地調査の準備段階として,中国における新幹線網の視察調査を行った。中国での日本の鉄道技術の輸出状況を実地確認することができた。これらの結果および途中経過については,学会発表,学会誌への論文掲載(6月1日発行に掲載確定)などによりその成果を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度の研究実施計画における全体の達成度を総括した場合,やや遅れている状況にある。その理由として,最先端鉄道工学に関する知識及び技術例の共有のため,関係学会に参加し情報収集を行ったが,平成26年度は機械系学会のみの参加に留まった点である。次年度は継続して土木系,電気系,情報系にも拡大する必要がある。次に鉄道運営例に関する実態調査に関しては,事故データ等のデータベース化は確立したものの,営業運営に関する部分の調査が進行していない点があげられる。未着手の他の北海道内鉄軌道事業者に関しても調査を行う必要がある。高等教育機関を対象とした,鉄道教育の実態調査に関しては調査範囲を全国の大学,短期大学等にも拡張する必要がある。海外への鉄道に関する日本技術の輸出成功例の調査としては,平成26年度は次年度の台湾高規格鉄道を中心とした実地調査の前準備として,中国における新幹線網を中心とした実地調査を行った。また分担者がカナダに長期出張となり,その際にカナダにおける鉄道網の調査を実施した。同時に国際化教育の鉄道工学授業の構築に向けての前準備を実施している。引き続き次年度は当初の目的である台湾の実地調査を行う。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は現在までの達成度で示した,平成26年度に実施予定で不十分であった事案を継続して推進させる一方,当初予定していた平成27年度の研究実施計画に基づき研究を推進させる。平成27年度は具体的には北海道の鉄道運営例に関することの実態調査を継続し,北海道のローカル鉄道運営例についても併せて実態調査を行う。また,車両の揺れ具合について着目し,小型計測器を用い振動と軌道の関係についても検討する。内燃機関を主軸とする鉄道における将来像についても検討を行う。これらを本研究者間で共有し,鉄道の課題と新規経営戦略を分析・検討する。鉄道技術の海外への日本技術輸出成功例として台湾を代表とするアジアでの実地調査を行う。平成26年度から収集している事故データ等データベースを基にして,学生の協力を得ながら学生自ら考察できる授業プログラム構築の一環としてブレーンストーミングを企画実施する。これらの成果を関係学会等での発表および論文にて公表する。これらの結果を最終年度となる平成28年度の研究実施計画につなげる。平成28年度では,各種調査結果から授業プログラムを考察し,その実用性を検証する。比較的少人数の学生に対して開発したプログラムを試行し,グローバル視点の鉄道技術教育の立案を行い,鉄道工学をテーマとした国際化教育プログラムの立案を目指す。すなわち,国際化教育の観点による鉄道工学授業のアウトラインを構築するなどである。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由の一つとして,本研究申請当初は初年度に台湾への実地調査を予定していたが担当分担者が長期海外出張となり,交付決定後は急遽準備期間に変更したことがあげられる。そのため必要な物件費を次年度に繰り延べしたことがあげられる。また,北海道内での実地調査に際して学生アルバイトの活用を予定していたが,当該年度は本研究メンバーのみで行ったため,人件費等が発生しなかったことがあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
使用計画については,平成27年度の当初研究予定に準じて物件費,旅費,人件費等を使用する。前年度発生した使用額については,海外の実地調査に関して必要な物件購入および本研究メンバーの旅費として使用する。さらに北海道内ローカル線等の調査に際しては学生アルバイトを活用するための人件費,調査用機材の購入物件費として平成27年度の使用額と合算して使用する。また,各種調査後の内容について分析し,本研究メンバーの成果発表への旅費,投稿料,参加料等として使用する。
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