本研究の目的はこれまで初等・中等教育機関に頼りきりであった児童生徒の教育を見直し、地域コミュニティと学校が協力して教育における「新しい公共」を構築していくことである。少子化問題を憂うのではなく、これを機会に地域全体として子どもを育むことのできることを喜び、教育の地域格差が起こらない地域型教育システムを考える。児童生徒は各自のポートフォリオを地域コミュニティの中で蓄積していくことを目標に活動する。学校と地域コミュニティはその活動を支え、児童生徒のポートフォリオ蓄積に対する助言をしていく。 本研究では金沢市立三和小学校および保護者会の協力を得て小学校の現状の要望に合わせたポートフォリオシステムの構築を導入の第一歩として、ポートフォリオシステムの中でも特に要望に挙げられたタイムカプセル機能の開発を優先して実施した。試作したアプリケーションは、小学校児童が授業の合間に自身の思い出の写真撮影を行い写真を収集し、本アプリケーションからデータベースに蓄積する。その際、擬似的にタイムカプセルを埋めることを体験するためのアニメーションが表示されるようにした。試作したアプリケーションを児童に使用してもらったところ非常に好評であった。今後、CDなどの記憶媒体に思い出を保存し、公民館などの地域施設で保管することによって災害・浸水などによる内容物の破損などを起こすことがない。さらに、このシステムを使うことで物理的にタイムカプセルを埋めることができない土地などで使用することができることから、ポートフォリオを地域コミュニティで蓄積、管理できるものと考えている。
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