研究課題/領域番号 |
26560121
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
石野 洋子 山口大学, 大学院技術経営研究科, 教授 (90373266)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 技術経営 / テキストマイニング / カリキュラム |
研究実績の概要 |
技術経営(MOT)分野の研究動向を調べるために,本研究では,MOTの国際会議の予稿集(proceedings)に掲載されている抄録(アブストラクト)をテキストマイニングすることで,MOT分野における世界的な研究動向の変化を発見することを考えた.テキストマイニングとは,定型化されていない文章の集まりを自然言語解析の手法を使って単語やフレーズに分割し,それらの出現頻度や相関関係を分析して有用な情報を抽出する手法である. MOTの国際学会はいくつかあるが,IAMOT(International Association for Management of Technology)はその代表的なものであり,1988年の第1回会議の後,隔年もしくは毎年,継続的に開催され,2014年5月には23回目の会議がアメリカのワシントンD.C.で開催され,出席者は世界中から約400人に上る(http://www.iamot.com/). IAMOTの予稿集の抄録にテキストマイニングを行い,出現する名詞を調べることでMOTの研究潮流の概略が把握できることは,我々の先行研究ですでに確認している.本年度の研究では,特にボトムアップ的な研究潮流に焦点を当て,テキストマイニングの解析対象を名詞に加えて動詞や形容詞など他の品詞にまで拡張することで,より詳細な研究潮流の変化を調べた. その結果,「特許(patent)」が特にMOTのボトムアップ的な研究潮流であることが判明した.特許関連のMOT研究が増加した理由としては,主にICT技術が進展し,データ処理能力が格段に向上したこと,また,特許解析ツールが充実してきたことなどが考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に従って予定通りに研究を進めており,大きなトラブル等の発生もなかった.
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今後の研究の推進方策 |
申請者が所属する山口大学MOTでは,修士2年の際に,各自が研究テーマを設定して1年間を通じて指導教員のもとで研究を行う(特定課題研究と呼ばれ,修士論文に相当する).そこで,その研究の抄録を使ってテキストマイニングをすることで本学における研究テーマの動向を調べることができる.ただし,IAMOTの抄録は英語で書かれているが,本学の特定課題研究は日本語で書かれているため,日本語用のテキストマイニングソフトウェアを使用する.日本語は英語などと比べて単語の境界判別の必要性があり,また文法ゆらぎが大きいため,形態素解析が困難であったが,近年では自然言語処理の発展により実用的な水準の分析が可能となっている.形態素解析を行った後,複雑ネットワークの枠組みで単語の共起ネットワークを調べる. また,IAMOTのボトムアップ的な研究潮流は「特許」であることが本年度の研究で明らかになったが,過去の修了生で在学中に癌の治療法に関する特許を申請した学生がおり,その波及的効果を調べるために,癌治療薬の市場データの分析も行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では,テキストマイニングのためのソフトウェアを初年度に購入する予定でいたが,実際のところ初年度は英文のテキストマイニングを主に行ったため,有料のソフトウェアを購入する必要がなかった.次年度は,日本語のテキストマイニングを主に行う予定なので,繰り越した費用を使用する予定である.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は,日本語用テキストマイニングのソフトウェアに加え,癌治療薬の市場データの購入を想定している.また,調査のための出張費,書籍・マニュアル等の消耗品費,論文校閲費(謝金等)を想定している.
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