研究課題/領域番号 |
26560122
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
緒方 広明 九州大学, 基幹教育院, 教授 (30274260)
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研究分担者 |
山田 政寛 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (10466831)
島田 敬士 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (80452811)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 教育工学 / モバイル学習 / ユビキタス学習 / 知識アウェアネス |
研究実績の概要 |
近年、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器や、RFID、センサーネットワーク等のユビキタス技術を教育や学習の支援に用いたユビキタス学習環境の研究が盛んに行われている。申請者らは、これまで本研究分野において、数多くの論文を発表しており、IEEE WMUTE2012 Best Paper Award等8件の論文賞や、Mobile Learning 2009, ICCE2010などで多くの基調講演を行ってきた。また、この学習環境において、新しい知識に気付かせることにより、協調学習を促進する、知識アウェアネスという概念を提案している(緒方ら,2000)。さらに、JSTさきがけ (2009~2012年度)の支援により「ラーニングログを用いた協調学習支援システム」を開発してきた。 一方、Google等が提供するHMD (Head Mount Display)等を用いて、日常生活の影像をカメラや写真・音声などを用いて記録するライフログ技術や、視野に入るオブジェクトに情報を重ね合わせて提供でするAR(Augmented Reality)技術等が注目されている。 本研究の目的は、物理世界と情報世界の融合を目的とした、サイバーフィジカル環境において、知的好奇心の触発によって学習を支援する知識アウェアネスレンズ(KAL: Knowledge Awareness Lens) を研究開発し、その有効性を検証することである。KALは、Google等が提供するHMDを用いて、物理世界のモノにつけられたRFIDタグとライフログ映像とをリンクして、日常生活における学習体験を記録・共有し、その分析をもとに、適切に学習の機会を示す情報を提示することで、学習チャンスの増大を目指す。また、本研究では、現実世界において、知識アウェアネスのフィルタリングを適切に行う、Zone of Knowledge Awareness(ZKA)の手法を提案する。基礎となる学習理論は、最近接発達領域ZPDを用い、KALによってZPDに気付かせ、この領域を拡張する。 平成27年度は、KALのプロトタイプシステムを開発し、ICHL2015やICCE2015等にて発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、H26年度に研究を始めて、2年目である。 平成27度以降は、平成26年度に開発したプロトタイプシステムの拡充を行い、評価した。 (1)KALのフィルタリング機能の見直しと再実装(緒方、島田、学生)、(2)SNS(Social Networking Service)やBlogなどのコミュニティ支援機能の実装と友達、家族、一般公開など、情報共有レベルの設定(緒方、島田、学生)、(3)全ての機能の統合(緒方、学生)、(4)従来研究のユビキタス協調学習システムや教材との統合(緒方、学生)、(5)第二次プロトタイプシステムの完成と調整(緒方、学生)、(6)評価を行う領域や問題、評価方法の検討(緒方、山田)、(7)システムの二次評価(緒方、山田、学生)
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今後の研究の推進方策 |
上記のとおり、本研究は、順調に進んでおり、今後は、平成27年度の研究成果を踏まえて、以下の研究を行う予定である。 (1)二次評価結果の分析とシステムの拡張・改善機能の考察(緒方、学生)、(2)システムの改善点の実装(緒方、学生)、(3)第三次プロトタイプシステムの完成と調整(緒方、学生)、(4)第三次システムを利用した中長期的評価方法の設計(緒方、山田)、(5)ラーニングログの実践と中長期的評価(緒方)、(6)最終評価とシステム公開(緒方、島田)、(7)研究のまとめと最終報告(緒方)
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に参加を予定していた国内会議や国際会議に参加できなかったために、研究費を次年度に繰り越す予定である。ただし、研究計画に変更はない。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度への繰り越し金は、平成28年度に国内会議や国際会議に参加して、研究成果を発表するために利用する予定である。
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