研究課題/領域番号 |
26560132
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
浅田 匡 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00184143)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | メンタリング / 教師教育 / 教授スキル |
研究実績の概要 |
今年度は,小学校及び中学校で介入型メンタリングを各1事例実施した.小学校は体育,中学校は国語である.小学校は初任者研修の一部として実施した.中学校は若手教員を対象とした. その結果,介入型メンタリングシステム上の問題とメンターの役割の問題が浮き彫りになった.まず,システム上の問題は,業務用ワイヤレスマイクを使用したが,その範囲が狭くon-goingでの指示が体育のような場合,メンターとメンティ(新任・若手教師)との距離が近くならざるをえず,メンターによる授業認知が制約を受けることである.また,メンターからの指示を受信する受信機と授業記録用のワイヤレス送信機を教師は持たなければならず,授業運営上問題となることが明らかになった.中学校でも授業者が二つのマイクシステムを持つということがメカニカルな問題を生じすることが明らかになった.データ収集における改善がポイントである.これらの問題には,市販の音響機器を購入して改善を進めているところである. 次に,メンターの役割である.授業観察からon-goingで指示を出すためには,メンターに高次の判断が求められることが明らかになった.授業の流れの中では,「○○しておけば××にはならない」といった授業後の省察ではなく,「○○したが,それにどのように対処するか」という視点から指示を出す必要がある.これは,授業者の意図や授業計画を十分に理解していることを前提に,即時の思考をメンターに求められることになる.その意味から,メンターの質が本メンタリングシステムではとりわけ重要である.これに関して,体育という教科特性,活動内容および初任者研修という状況に影響されていると思われるが,介入した新任教師に応じたメンタリングというよりも,体育という教科一般に関する授業運営や注意点の指示が多かった.このこともメンターの役割を検討する必要性を示していると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小学校及び中学校各一事例を実施し,本研究計画で考えたシステムの試行ができ,問題点を明らかにできた.したがって,当初の計画に沿って,初年度の計画はおおむね達成できたと考えられる.ただ,実施時期が予定よりずれ込んだため,データの分析等がやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,システム上の問題を解決するために購入した機器を活用した実践を小学校で行う.昨年度は,授業者との関係性を考え,初任者研修担当者にメンターとして参加していただいたが,今年度は研究協力をお願いしている,元校長(現大学教員)にメンターとして参加いただき,メンターの役割を吟味し,実践を行い,初年度の問題へアプローチする. また,昨年度お願いした中学校において,年間3回,同一教師,同一メンターで介入型メンタリングを実施し,両者の変容を明らかにする予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
介入型メンタリグの実施を7月中に行い,学会発表を予定していたが,実施校の事情等により実施が12月及び2月となり,研究成果発表が予定通り行えなかったことが大きな理由である.
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度の研究成果の発表のための旅費,当初想定していなかったシステム上の問題を改善するための機器購入の必要が生じることが考えられ,それに充当する.
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