研究課題
本研究課題の目的は,テストで得られる知識・技能の測定結果と,学習・教育活動から生成される学習ログを連携させて,個々の学習者に最適化された学習診断法を研究することである。学習ログデータに関しては,本年度は,これまでに開発したe-learningシステム上に蓄積された2013年度から2015年度に実施した日本語教育学習ログデータにもとづき,学習者の学習行動パターンや学習成績をサンプルサイズの小さなデータから予測する手法を提案した。少数のデータにもとづく予測困難な状況を解決する工夫として,各項目の解答結果だけでなく,解答に要した時間,回数などの学習ログを用いることで,予測精度の向上を図った。学習者の知識状態を適切に診断する研究においては,本年度は日本語文法認知診断テストをシステムに実装し,事前に推定した項目パラメータ値を用いて学習者のアトリビュート習得状況をオンライン推定した上,習得状況に合わせて学習者個別にフィードバックするWebテストの開発を行った。また,学習者の解答データに基づくQ-matrixと個人の知識状態の自動学習については,本年度は認知診断モデルDINAを用いて,項目パラメータとQ-matrixの学習方法の提案や推定アルゴリズムの改善を行った。平成26年度から3年間にわたって,本研究では,まず学習ログデータを収集のためe-learningシステムの整備,システムへの日本語教育学習コンテンツの実装等,実験・分析の基盤作りを行いながら,各種の学習ログデータの収集・分析方法を検討した。また学習者の知識状態を推定する認知診断モデルの研究,学習者の特性に応じたフィードバック情報の活用法の研究等も並行して行った。パーソナライズド学習を実現するには,認知診断と学習ログを融合した学習診断法が不可欠と考え,今後も継続して研究を重ねる予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件)
東アジア日本語教育・日本文化研究
巻: vol.20 ページ: pp.21-35
International Journal of Data Science and Analytics (JDSA)
巻: Vol.1, No.3 ページ: pp.199-214
Proceedings of the International Conference on Behavior, Economic and Social Computing (BESC'2016)
巻: - ページ: pp.5-10