研究課題/領域番号 |
26560137
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
池田 光穂 大阪大学, コミュニケーションデザイン・センター, 教授 (40211718)
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研究分担者 |
大舘 智志 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60292041)
田所 聖志 秋田大学, その他部局等, 准教授 (80440204)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 動物地理 / ヒューマンエソロジー / 対称性人類学 / 遠近法(perspectivism) / 動物学者 / 科学人類学 / 科学史 / 科学社会学 |
研究実績の概要 |
研究代表者の池田光穂は、犬と人間の相互作用が構成する環境世界(Unwelt)という観点から生物の共進化を促進するための育種過程(breeding process)の要因に関して、文化という非遺伝的な影響について考察した。その成果を、日本文化人類学会、大阪大学芸術と科学の融合研究会、ヒトと動物の関係学会等で発表した。また動物殺しという観点から、人間の同種間殺害、とりわけ嬰児殺し(infanticide)と高齢者殺害(gerontocide)に関する民族誌データを比較して、狩猟動物や家畜の殺害行為との共通点と相違点を明らかにした。さらに池田は2016年2月、研究分担者である大舘智志のタンザニア西南部のンジョンベ地域におけるスンクス属の採集旅行に同行し、モロゴロ農業大学の害獣動物駆除研究のエキスパートの研究交流に参加した。それに先立ち、大舘は2015年12月にタイのチュラロンコン大学でおこなわれたThe 5th international Symposium on Asian Vertebrate species Diversity (JSPS Core-To-Core Program)において、住家性ジャコウネズミの研究における系統地理学的分析の調査研究(一部)を発表した。またその際に、アジアにおける爬虫類や鳥類の研究者と情報交換をおこなった。研究分担者の田所聖志は、池田と連絡をとりつつ、これまで収集してきたパプアニューギニア山地民社会の人間と動物との関係に関するデータの整理・分析を進め、関連する文献研究を行った。その際に、人間による動物へのまなざしについて、ニューギニア山地民と動物行動学者とのあいだにある共通点と差異について検討した。平成27(2015)年度の総論として、昨年度に引き続き、人間と動物の多様な相互関係に関する資料収集と分析に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査計画の年度計画では、1)相互の研究室の訪問とインタビュー、2)方法論に関する研究会開催、3)文献の渉猟と学知の蓄積、を予定していた。研究実績の概要にあるように、1)と3)に関しては哺乳類研究のフィールドワークがなされたので、その面での成果があがった。2)に関しては個別の学会発表・国際集会の参加を通して、方法論上の示唆や情報の収集に努めたが、具体的な全体集会は招集できなかった。しかしメールおよび電子会議にて、この部分のハンディの解消には努力した。研究代表者と分担者は種々の学術集会等に参加し、資料を提供してくれる動物学者等と邂逅する機会を得たので、調査研究について幅をもたせる研究機会を得た。そのため、研究の自己点検による評価においては「おおむね順調」の進捗状況であると認めることができる。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの到達度」で自己評価したように概ね順調にすすんでいる。平成28(2016) 年度は最終年度であり、インドネシア・ボゴールにてTHE 6th INTERNATIONAL SYMPOSIUM ON ASIAN VERTEBRATE SPECIES DIVERSITY、東京で第64回日本生態学会(2017年3月)の開催が予定されているが、これらの集会にも参加し研究発表に挑戦したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度中に共同研究会を予定していたが、28年2月にタンザニア海外調査を入れたために、年度内共同研究会の開催を見送ったための残額である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度年度末に計画していた共同研究会を年度明けの適切な時期に開催する予定である。
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