研究課題/領域番号 |
26560138
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 征樹 大阪大学, 全学教育推進機構, 准教授 (90361667)
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研究分担者 |
市田 秀樹 日本文理大学, 工学部, 特任准教授 (50379129)
成瀬 尚志 京都光華女子大学短期大学部, ライフデザイン学科, 講師 (60467644)
東島 仁 信州大学, 医学部, 助教 (80579326)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 炭鉱開発 / エネルギー産業 / 石炭産業 / 地域コミュニティの変容 / 池島炭鉱 / 戦後の経済発展 / 炭鉱労働 |
研究実績の概要 |
戦後日本の経済発展と地域社会の変容について、戦後に開発がはじまり2001年に閉山した長崎県の池島炭鉱の盛衰から読み解こうというのが本研究課題である。本研究では、今後の池島研究のための基礎的資料を収集することを第一の目的としており、関係する重要な一次資料の調査やインタビューの実施による証言の蓄積を中心に行う。平成26年度は具体的に以下の3点を中心に研究を実施した。 (1)関連文献の調査、池島炭鉱や関連の諸炭鉱、また九州の他の炭鉱をめぐる状況や石炭政策、エネルギー政策等の変遷について基本的なデータを調査・整理するとともに、長崎県立図書館等で関連する資料の調査を行った。 (2)池島で複数回にわたって炭鉱施設・炭鉱住宅等について現地調査を行うとともに、関係する人々(元従業員、元労働組合関係者、建設関係者や現在の住人・小中学校関係者等)に対して幅広くインタビュー調査を実施した。とりわけ、炭鉱開発以前から現代にいたる地域コミュニティの変化や、炭鉱稼働時の池島での労働をめぐる状況や生活環境等について調査を行った。 (3)研究の方針について検討するため、研究を開始するにあたって、平成26年6月には長崎市地域おこし協力隊(当時)の小島健一氏や『軍艦島入門』著者の黒沢永紀氏らを招へいして公開研究会「池島研究の可能性」および「池島カフェ~池島の魅力を語る」を実施した。そのほか、炭鉱研究者とのネットワークの構築を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料調査・収集について関連文献・資料について重要なものについてはおおむね収集・検討することができたとともに、関連年表の作成など重要な事実関係の整理を行うことができた。また重要な一次資料として「いけしま新聞」を部分的にではあるが収集したほか、慶応大学図書館の日本石炭産業関連資料コレクションの関連資料など、今後調査するべき文献についても一定の目星をつけることができた。また、聞き取り調査についても、池島在住者を中心に予定どおりの一定数の関係者に対してインタビューを行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に引き続き、「いけしま新聞」等の一次資料について引き続き調査・収集を行うほか、長崎新聞等地元新聞での池島関連記事の調査を行う。また、慶応大学図書館日本石炭産業関連資料コレクションに所蔵されている労組関係資料について調査を実施する。 平成26年度は池島在住者を中心にインタビューを実施したが、今後はそのほかに現在は池島を離れて生活を行っている関係者についてもインタビューを実施する。 以上の調査を踏まえて、戦後日本の経済発展のあり方について、長崎県池島の盛衰からなにが見えるかを明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究者の異動(平成26年度中に2名が、平成27年4月に1名が異動)に伴い、一部の調査を翌年度に繰り越すことになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
長崎県での現地調査・資料調査を行うための旅費として利用する。
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