戦後の日本社会の経済発展の傍らで、地方社会がいかなる変容を遂げ、どのような問題に直面してきたのか。「中央」と「地方」の関係について、戦後に開発が始まった長崎県の池島炭鉱に着目して検討した。以下の点が明らかになった。①池島炭鉱の歴史は、日本の石炭産業の衰退・終焉の歴史であり、閉山に至る過程や一時的な活況なども、国の石炭政策の密接な影響下にあった。②炭鉱の開発とともに地域社会は大きく変化し、離島という制約に伴う諸問題についても短期間で多くの改善が図られた。しかし閉山後、離島という制約は再度、顕在化することになった。③一地方の努力だけでは解決できない問題が、石炭産業の衰退期・末期に顕在化した。
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