研究実績の概要 |
本研究は、科学技術史及び科学技術社会論(STS)の分析技法を用いて、戦前の日本において紫外線に関する知識と言説がどのように形成され、変容してきたのかを実証的に検討することを目的とする。特に本研究では、科学知識が生産される局面と消費される局面の両方を射程に入れ、社会的な存在としての紫外線について総合的に考察している。 2014年度においては、各図書館での資料調査を行いつつ、情報の収集と分析を行った。その結果、紫外線の農業との関係に注目するようになり、分析の結果は、William Boyd, “Making Meat: Science, Technology, and American Poultry Production,” Technology and Culture Vol. 42, no. 2, 2001, pp. 631-664で紹介されているアメリカの事例と比較しつつ、2015年5月30日・31日に大阪市立大学で開催される日本科学史学会第62回年会にて報告する予定である。 一方、Daniel Freund, American Sunshine: Diseases of Darkness and the Quest for Natural Light, Chicago: University of Chicago Press, 2012は20世紀前半のアメリカ社会における様々なアクターと紫外線認識との関係について分析しているが、Freundの研究と日本の事例を比較することで理論面での進展も期待できる。
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