研究課題/領域番号 |
26560143
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
桐野 文良 東京藝術大学, 美術研究科, 教授 (10334484)
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研究分担者 |
横山 和司 神戸大学, 学内共同利用施設等, 教授 (10523053)
土浦 宏紀 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30374961)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 釉薬 / 電子状態 / XAFS / シミュレーション |
研究実績の概要 |
本年は今年度は基礎物性測定として磁化状態の測定および高輝度放射光を用いたXAFSやXAENS測定、計算機シミュレーションのプログラム等の準備を進める。
研究代表者:試料の作製および色彩評価、結晶構造解析を行う。試料の作製にあたり雰囲気制御が可能な小型の電気炉を導入した。また、電子状態の評価として、ESR(FMR)による磁化状態の測定および解析を行う。用いる試料はMn系の釉薬である。Mn系材料は反強磁性体として知られており、磁性はFeの電子状態、特に電子スピンに起因する。この状態をはかるのが電子スピン共鳴吸収(ESR)である。ESRより高い周波数帯を用いる強磁性共鳴(FMR)を測定するのも有効である。これらの結果を用いて、磁化状態から配位構造を解析するための手法を確立した。手法の確立にあたり、構造や価数が既知な標準となる試料を用いた。
研究分担者:高輝度放射光を用いたXAFSやXAENS測定に先立ち、装置の製作および調整等の準備を行った。放射光実験施設(ビームライン)は既設であるが、本研究の対象とする測定系は新たに製作、調整が必要である。また、釉薬中のMn系材料は極微量であるので、測定系の確立が必要である。これと併行して、第一原理バンド計算により配位構造を解析する計算機シミュレーション手法の確立を進めた。そのはじめに電子状態が既知な物質で検討の準備をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試料製作の準備と基礎検討、シミュレーションの準備と基礎検討、そして、XAFSやXANESにより基礎検討の準備をおこない、計画が順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は確立した磁化状態の測定および高輝度放射光を用いたXAFSやXAENS測定および結果の解析、さらには計算機シミュレーションによる電子状態解析を中心に進める。試料は生成条件が異なる釉薬試料を用いる。
研究代表者:27年度は26年度の結果を詳細に解析するために生成条件(温度や雰囲気)が既知の釉薬試料を合成する。電子構造に関する基本物性を測定した後、26年度に確立した磁化状態の測定手法を駆使し、Feの周囲の電子状態の解析を進める。
研究分担者:27年度は26年度に確立した高輝度放射光を用いたXAFSやXAENS測定手法を用いて標準試料や文化財試料の測定を行なうとともに結果の解析を行う。さらに、計算機シミュレーションにより測定結果を用いて第一原理バンド計算により配位結合の状態を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
マシンタイムの関係で高輝度放射光施設への出張が少なかったこと、電気炉が予定価格より安価であったことが理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度はマシンタイムの確保ができたので予定より出張が多くなること、昨年度は準備が多く発表ができなかったので今年度は学術誌への投稿を行う予定である。
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