有機成分のコラーゲンが残存していないために炭素14年代測定が不可能とされてきた火葬骨試料に対し、無機成分の炭酸ヒドロキシアパタイト(CHa)を用いて高確度な炭素14年代測定が可能かどうかを調べた。その結果、1)骨は高温(750℃以上)で加熱されるとアパタイトの結晶性が高くなり、続成作用や汚染の影響を受けにくくなること、2)真空下で0.1 mol/L酢酸と1時間反応させることにより、二次炭酸塩や汚染炭素を効率的に除去し,骨CHa中の炭素のみを抽出することが可能であること、3)アパタイトの結晶性が高い火葬骨においては、CHaを用いた信頼性ある炭素14年代測定が可能であること、が明らかになった。
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