研究課題/領域番号 |
26560150
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研究機関 | 武蔵野美術大学 |
研究代表者 |
杉浦 幸子 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (90635955)
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研究分担者 |
三澤 一実 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (10348196)
米徳 信一 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (80240381)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 鑑賞教育 / 乳幼児教育 / アート / 美術館 / 実験心理学 / 動画記録 / 保育園 |
研究実績の概要 |
研究の最終年に当たる本年は、美術館における乳児のための鑑賞プログラムの実践を重ねつつ、これまで行ってきたプログラムにおける観察結果を分析し、まとめ、美術館が独自で乳児のための鑑賞プログラムを実施することができるマネジメントのプロトタイプを考察した。そしてその成果を美術館や乳幼児育成に関係する自治体部署へ伝え、各所で乳児のための鑑賞プログラムが行われるベースを形成した。 具体的には、9月に川越市立美術館で開催された「名品と出会う-企業コレクションによる日本近代洋画展-」で2回の乳児を対象とした鑑賞プログラムを実施し、3年間の実践成果からデザインしたプログラムマネジメントのプロトタイプの検証を行った。 実践から導き出した成果を伝えるためのリーフレットと映像を制作し、全国の美術館の教育普及担当および自治体で乳幼児の子育て支援を行う部署に配布した(現在も作業継続中)。 海外の美術館との乳幼児対象鑑賞プログラムの開発のために、アジア圏で「美感教育」をベースに、近年、急速に美術館の教育的活用を進める台湾の美術館との連携構築を開始した。今年度、台北市美術館の教育普及チームとお互いのプログラムの現状を共有しあい、共同で乳幼児を対象としたプログラムを開発する可能性についてディスカッションを行った。また高雄市立美術館での乳幼児の美術館での鑑賞行動のリサーチを実施した。 また、研究を進める中で、美術館での乳幼児向けプログラムに参加を希望するが、諸々の理由で参加できない層がかなり存在することがわかったことから、美術館という非日常的な空間での鑑賞体験だけでなく、日常的な美術作品の鑑賞体験のデザインを行う必要があることが新たに認識された。そこから、乳幼児が長時間日常生活を営む「保育園」という生育の場に作品を常設展示することで、日常的に美術鑑賞を行うことができる環境を創出するデザインを行った。
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