研究課題/領域番号 |
26560151
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
堀江 典子 佛教大学, 社会学部, 准教授 (70455484)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 都市施設 / 博物館的機能 / 博物館的活動 / 収集保存 / 調査研究 / 展示教育 / インフラ |
研究実績の概要 |
平成26年度においては、本研究の前提となる概念として、「都市施設」の概念と計画・整備の状況及び存在意義、「都市施設における博物館的機能」及び「都市あるいは地域における博物館的活動」の現状と意義について把握し、整理した。概要は以下のとおりである。 1.都市施設には当該施設がつくられるに至った本来の機能発揮という存在意義があると同時に、地域の共有財産としてのより広い機能に及び存在意義があり、収集・保存、調査・研究、展示・教育、楽しみといった博物館的機能を担うことができる。 2.都市施設が博物館的機能を発揮していくことの可能性を以下の三点に整理した。第一に、関心を持ってもらうことによって、都市施設そのものが有する地域資源の価値や地域の記録と記憶を伝えていくという方向性は、市民が地域環境を認識し、保全継承し、あるいは地域持続の担い手を育成していくうえでも有効であると考えられる。第二に、わざわざ博物館に出向いて行って建物の中で見る展示ではなく、生活の場である都市や地域において日常的に身近に繰り返し接することができ、特に、地域の災害の記録や記憶を伝えるなどの防災教育や、日常的な環境行動を促す環境教育などにおいて大きな可能性を持つと考えられる。第三に、博物館的機能の発揮は、都市施設の整備・維持管理事業遂行にかかわる説明責任の行使、市民の理解を促し信頼関係を構築する上で不可欠なコミュニケーションの観点からも意義があると考えられる。 3.一方で、現状での取り組みは都市施設ごとに縦割りのままバラバラに、また時として競合的に行われていることから、今後、都市施設における博物館的機能を充実させていくための課題を以下の三点に整理した。第一に、都市全体を俯瞰し施設横断的に位置付けていくことの必要性、第二に、博物館的機能を担う人材の問題、第三に、何のための博物館的機能なのかについての認識の共有、である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主として文献資料調査に基づく概念整理と現況把握はほぼ終え、成果についての学会発表もできたことから、おおむね順調に進展していると考えている。また、事例ヒアリングにも着手している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の成果を踏まえて、都市施設における博物館的機能を現実問題として検討するため、ヒアリングを含む事例調査を継続するとともに、設定したエリアの比較等により現状と課題を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月21日に開催された全日本博物館学会第3回研究会への出席にかかる旅費の執行が、翌年度処理となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
旅費については、平成27年度においてもヒアリングを含む事例調査、及び学会、研究会等への出席で使用することを予定している。
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