研究課題
地震などの大規模な自然災害は百年オーダーでの歴史記録に残るケースはあるものの,数千年に一度といった大規模低頻度な自然災害の記録が残ることは稀であり,自然地理学的あるいは地質学的アプローチからその実態を解明する必要がある。本研究では,豊富な考古学資料から数千年前の明確な文化の断絶が立証されているものの,同時期に大規模な環境変化が報告されていない中央アナトリアにおいて,後期完新世の災害履歴・古環境変動と,それらが文化変容に与えた影響を明らかにし,さらに,同地域で将来的に起こりうる自然災害の現代都市への影響について検討を行い,今後の都市開発と防災・減災策を確立するための基礎情報を構築することを目的とする。本年度は,現地調査は実施せず,GIS(地理情報システム)およびRS(リモートセンシング)の手法を用いて,昨年度までに取得した現地計測による地形情報や,衛星画像および広域地形データの解析を進めた。また,現地調査データと分析結果を取りまとめ,GISデータベースへの集約,カタログ化を進めた。加えて,インターネット上に設置した共同研究者間のみで共有するスペースにおいて,データの共有や情報交換,作業進捗状況の確認等に利用した。また,成果の一部(とくに山体崩壊に関する調査・分析結果)をとりまとめ,国際学術誌に投稿した。あわせて,国際会議における研究発表を複数件実施し,それぞれ多様なバックグラウンドをもつ研究者とともに,これまでの研究成果についての議論と今後の発展について,有益な議論を行うことができた。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件)
In: Enzel, Y, Bar-Yosef, O. (eds.) Quaternary of the Levant: Environments, Climate Change, and Humans, Cambridge University Press.
巻: - ページ: in press
Journal of Cultural Heritage Management and Sustainable Development,
巻: 6 ページ: 195-212.
10.1108/JCHMSD-01-2016-0005