本研究は未舗装路に生じる波状起伏、および主に車の加減速が頻繁になされる冬季の交差点などで発生する多数のこぶ状の氷の集合、いわゆる「そろばん道路」の両現象について、その発生メカニズムを理論・実験・計測の三方向から解き明かすことを試みる斬新な挑戦的研究である。最終年度である平成27年度における研究成果を要約すると以下の通りである。 (1)北海道大学構内において車の加減速が頻繁になされるゲート付きの門の路面において、初年度冬より設置している定点カメラに加え、タイムラプスを設置することで、時間変化によるそろばん道路の生成過程を詳細に追うことに成功した。また気象データとの比較により、積雪が10-20cm程度以上となる降雪修了後に気温が0度~-2度近辺となる気象状況の際に発生頻度が高くなることや、自動車走行による気温変化による発生のしやすさに関する傾向を新たに確認した。 (2)昨年度開発した未舗装路の波状起伏を再現する室内実験装置を用いて、種々の実験を実施した。これは道路を様々な媒体を敷き詰めることが可能な回転円盤とし、回転速度を可変とすることで、自動車を模擬した鉛直方向振動子(回転方向に固定)との相互作用を模擬できるものである。これにより、固有振動特性および回転速度により波状起伏の発生状態が大きく異なる、非常に興味深い結果が得られた。また解析において用いる定数を決定するために、敷き詰めた媒体の力学的性質を貫入試験装置により計測し、荷重-変位関係についても新たな結果を得た。
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