研究実績の概要 |
平成28年度においては,多重共線性を回避する特徴選択というテーマに対し,以下の成果を得た.特徴選択における多重共線性は,相関係数行列の条件数の増大,もしくは分散拡大要因の増大のいずれかが指標として用いられているが,後者の指標がより一般的である.平成27年度の研究において,前者の指標を一定以下に抑えた上で最適な変数選択をする問題は混合整数半正定値計画問題として定式化できることを示した.平成28年度の研究においては,後者の指標―分散拡大要因―について,これを一定以下に抑えた上で最適な変数選択をする問題が混合整数二次計画問題として定式化することに成功した.分散拡大要因を表す定式化は,従来は逆凸型の計算困難な制約として表現されていたため,計算が容易な混合整数二次計画問題として定式化できたことは画期的な成果であり,今後のこの分野に与えるインパクトも大きいと考えられる. 研究期間全体を通して,「特徴選択問題に対する厳密な最適解を求めるためのアルゴリズムの構築」という課題に対し,種々の数理計画的アプローチを用いて,厳密解求解のための数理モデルの構築に成功した.これらの成果には,AIC, BICをはじめとする情報量規準の最小化,MallowsのC_p規準の最小化,ロジスティック回帰や順序ロジットモデルにおける特徴選択問題,多重共線性(相関係数行列の条件数による評価,分散拡大要因による評価)を抑えるための数理モデルなどが含まれる.また,既に数理モデルが提案されていた問題に対しては,その高速化に成功した.
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