研究課題/領域番号 |
26560166
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
茂木 創 拓殖大学, 政経学部, 准教授 (10407661)
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研究分担者 |
立花 亨 拓殖大学, 政経学部, 教授 (90384700)
木村 正信 金沢星稜大学, 経済学部, 教授 (50339983)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 備蓄 / 食料 / エネルギー |
研究実績の概要 |
本研究「食料・エネルギー備蓄におけるデフラグメンテーション費用」は、食料やエネルギーの国家備蓄(民間委託を含む)の有効生活即効性のある活用について考察する研究である。明らかにしたい点は、以下の4つの点である。 ①備蓄に関する法制度や現状についての調査・分析を試み、その問題点を明らかにする。食料備蓄とりわけ政府備蓄米に関しては、2010年以降、その販売・保管・運送等の一連の業務が民間事業体に包括的に委託されている。民間委託となった結果、どのような問題点が生じているのか調査・分析する。また、エネルギーの国内備蓄に関しては、国内に12の国家備蓄基地が存在し、民間委託備蓄も行われているが、これら実態調査や海外での備蓄状況について調査し、問題点を浮き彫りにする。②食料とエネルギー価格の連動性について先行研究における分析手法を考慮しつつ、理論・計量的な試みる。③国家備蓄を緩衝備蓄(バッファー・ストレージ)として政策運用する可能性について、費用便益分析から検討する。④主要各国の備蓄政策の現状についても調査する。とりわけ、スイスやアジアの新興国は国家備蓄を戦略的に行っている国であり、文献の渉猟による法律・制度分析に加え、現地調査やヒアリングを行う。 2016年4月現在、①、②についての研究はほぼ終え、③、④の研究を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目となる本研究は、1年目の自治体の石油備蓄、食料備蓄の現状ヒアリングを踏まえ、茂木が「緊急時における一般入札と随意契約の社会的費用」について、木村が「オイルショックとマクロ経済」、立花が「緊急時における石油供給の円滑化-災害時給油所地下タンク製品備蓄促進事業とその課題」などの研究成果報告を行ったが、それぞれ、課題を解決するための政策費用や実現可能性の問題などについては問題が残る結果となっている。最終年度ではこうした問題を解決するための社会的な費用についても考察を行いたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
以下の点を重点的に進める。第一に、これまで得られた知見及び成果をまとめ、論稿の形にする。これは参加している研究者3名が参加している日本マクロエンジニアリング学会の機関紙『Macro Review』に投稿する予定である。 第二に、備蓄理論の整理と構築を行い、日本的商慣行(いわゆる「バックマージン」)の社会的費用について、政策の時間的不整合性(タイム・インコンシステンシー)の視点から明らかにする。また、昨年度の研究では、日本経済における原油価格と物価指数の関係について考察を試みたが、今年度は原油価格と備蓄の関係、備蓄と経済厚生の関係についても考察を試みる。 第三に、他国の備蓄制度との比較から、震災時において生産者から消費者へ安定的な備蓄物資が供給されるために必要な改革は何かについて、政策提言を行い、その費用について検討を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
H27年度は、当初予定していた研究会が会場都合および研究進捗の関係から開催できなかった。また、研究代表者の茂木の海外調査出張(イギリス)がテロによるヨーロッパの地政学的な不安定要素が高まった時期と重なり実施できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度に実施できなかった研究会はすでに4月に開催のための準備会合を開いており、6月に発表予定である。また、茂木の海外調査も、受け入れ機関との調整を進めており、早急に実施する予定である。
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