研究課題/領域番号 |
26560173
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
丸山 喜久 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70397024)
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研究分担者 |
庄司 学 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 准教授 (60282836)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ドライビングシミュレータ / 津波避難 / ハザードマップ / 東北地方太平洋沖地震 |
研究実績の概要 |
平成27年度は,前年度に引き続き,東北地方太平洋沖地震の際の道路橋や平面道路の被害分析を行った.平面道路に関しては,津波数値シミュレーション結果に基づき,4つの地形区分ごとに浸水深と被害率の関係性を評価し,被害予測式を構築した. さらに,研究代表者が構築した津波浸水シナリオを搭載したドライビングシミュレータを用いて,31人の被験者を対象に自動車による津波避難実験を行った.4つの走行シナリオを構築し,被験者の避難行動を津波情報の周知の方法,避難時の経路案内の有無などに着目し,系統的に整理した.また,運転者への情報提供が津波時の避難行動にもたらす効果および問題点を検討した. シナリオ1(避難経路案内なし)とシナリオ2(避難経路案内あり)の結果を比較すると,カーナビによる避難経路案内によって,避難成功率が向上した.このことから,カーナビ等を使用して安全な走行経路と避難場所の位置を運転者へ伝達することは津波避難に効果的であると考えられる.一方,シナリオ3(避難経路案内あり,避難経路に渋滞あり)の結果が示すように,避難場所の自動車収容台数が限界に達していたり,周辺が他の避難する自動車で渋滞していた場合,経路案内に従うことで却って避難が遅れたり,津波に浸水されてしまう恐れもある.シナリオ4(避難経路に渋滞あり,カーナビにハザードマップを表示)では,運転者が独自に判断し,経路案内を逸脱して避難に成功した被験者がシナリオ3よりも増加した.しかし,走行中に経路案内が表示されなかったことで,道に迷ったり,海岸線の道路を走り続け津波に冠水した被験者も存在するなど,全体の結果を見ると浸水域や浸水深の情報を与えるだけでは,避難成功率の向上への効果はあまり高くなかった.したがって,道路標識等を活用する,地域内で自動車避難の優先順位付けをする,防災教育を充実するなど,多角的な取り組みが重要と考えられる.
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