本研究は、地下水位を一旦低下させた後、水位が回復するに任せるだけという極めて単純な方法により地盤を不飽和化させ、液状化抑止効果を得ようとする方法の定量的評価を目的としている。 平成26年度は、[A]遠心実験用Vp・Vsセンサーの開発、[B]遠心模型実験による地下水位低下回復に伴うVpおよび飽和度の計測確認、[C]現場実験による飽和度の確認を実施した。[A]では、Vpセンサーを試作し、遠心実験でVpが計測できることを確認した。[B]では、遠心載荷中に模型地盤の地下水位を低下・回復させるための装置を開発し、地下水位低下・回復・震動実験を行った。また、Vpセンサーおよび誘電率計を用い、一連の過程でVpおよび飽和度の計測を行った。[C]では、千葉市の実証実験に参画し、地下水位低下後・回復後のVpおよび飽和度の計測を行った。 平成27年度の当初計画では、[A]遠心模型実験による水位低下前・低下中・回復後の地盤の性質を調べるとともに、[B]現場実験での飽和度の評価を継続することとした。[A]では、地下水位低下・回復により、低下前は100%であった地盤の飽和度が90%程度までしか回復せず液状化抑止効果を示すこと、地盤・建屋の沈下量を低減できることを確認した。また、誘電率計によって飽和度を計測できること、Vpは飽和・不飽和の判別のみで、飽和度の計測には適さないことが分かった。一方、[B]地下水位低下時・回復後の原位置における飽和度計測の結果によれば、原位置においても回復直後は砂地盤の飽和度が90%程度となるものの、時間の経過とともにその効果が薄れる可能性が示唆された。 一連の研究により、地下水位低下回復により対象地盤の不飽和化・液状化抑止が可能であること、誘電率計により地盤の飽和度が計測できること、PS検層によるVpの値は飽和・不飽和の判別のみが可能であること、等が分かった。
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