近年では、直下地震や極端気象の増加に対応して、土砂環境を流域一体として捉え、過去のイベントを編纂する必要性が増している。また、近年のAMS放射性炭素年代測定法の普及と測定の低価格化によって、多数の年代資料を得やすい研究環境も整備されてきた。そこで、歴史時代の斜面堆積物の年代資料を収集整理し、人間活動との関連性を議論する事で、「防災考古学」の確立を試みた。ここでは、多くの年代測定値が蓄積されつつある京都盆地東山地域を対象に、土砂生産の歴史的変遷について、環境変化の重要な要因である内陸地震、及び人間活動との関係を検討した。更に、これらの成果を「埋もれた都の防災学」(京大学術出版会)として公表した。
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