研究課題
2010年の国産補助人工心臓の販売承認以降、重症心不全患者の在宅治療症例は増加を続けている。一方、これらの患者予後は、人工内臓の耐久性だけでなく腎不全を始め末梢臓器への影響にも依っている。長期にわたる人工的循環動態の管理では循環補助システムのモニタおよびハードウェア管理だけでなく、継続した臓器機能の評価が重要となる。これら長期の補助循環治療における末梢循環応答評価を遠隔地から、また患者自身でも取得可能な非接触非侵襲で実現することを目標とし、所有する補助循環時の血流血圧応答解析による自律神経機能評価と血液循環シミュレーション基盤技術を融合させて末梢循環のモデリング評価システム開発を着想した。補助循環下でCCDまたはCMOSカメラ計測データを用いた非接触非侵襲の主要臓器(皮膚、肝臓、肺、腎)の血流評価を可能とする血液循環シミュレータ末梢モデルの開発を試みた。研究の成果概要として、超小型CMOS/CCD素子による480fpsの撮像データから、対象領域の脈動変化を定量評価しえた。また線維組織を模した高分子製メッシュ体を還流する模擬拍動システムにおいても拍動性の流体振幅を線形的に反映すること、非接触での動脈系脈動波形が推測可能であることが示された。補助循環下脈動性を動物実験において評価し、遠心型補助人工心臓での脈圧脈流が定常流型血液ポンプによって支配的になる高回転時には、非補助時と比べて末梢循環での拍動性が低下することが定量的に計測しうることが示された。これらのシステムを小型化CMOSカメラと無線化した解析システムとして試作を行い、カメラを胸腔内で留置して遠心型血液ポンプを用いた補助循環下での肺表面の取得画像時刻歴変化を90fpsで解析し、肺動脈主幹部血流の変動に伴う肺末梢の表面血流データを比較し、撮像対象組織の容積と血液密度の時間関数により画像拍動波形が反映されることが示唆された。
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J Artif Organs
巻: 2016 ページ: 印刷中
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mec1.idac.tohoku.ac.jp
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