研究課題/領域番号 |
26560205
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
田渕 圭章 富山大学, 生命科学先端研究センター, 准教授 (20322109)
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研究分担者 |
近藤 隆 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (40143937)
池亀 美華 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70282986)
鈴木 信雄 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 准教授 (60242476)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 超音波 |
研究実績の概要 |
低出力パルス超音波(LIPUS) は長年骨折治療に利用されているが,その作用の分子メカニズムは不明な点が多い.同じゲノムを持つ未分化な幹細胞が様々な機能の異なる細胞へ分化できるのは,ゲノムによらないエピジェネティック制御があるからである.今年度は,以下の実験結果を得た. 新規に導入した超音波発生装置(帝人社製)を用いた.LIPUSは,強度ISPTA (空間ピーク時間平均強度) が30 mW/cm2で20分間照射した.また,強度を7.5-120 mW/cm2で変化させた.未分化骨芽細胞様株MC3T3-E1において,LIPUS (30 mW/cm2, 20 min) の一回照射は,ERK (extracellular signal-related kinase) の活性化を誘導したが,この効果は非常に不安定で,現在,この原因を究明中である. 間葉系幹細胞株ST-2細胞を用いた時,LIPUS (30 mW/cm2, 20 min) の連続照射 (一日一回) は,細胞の増殖を有意に亢進させることが明らかとなった.LIPUSの効果を評価するために,ST-2細胞の分化誘導条件の詳細を検討している.アスコルビン酸等の骨芽細胞誘導試薬により細胞の石灰化(カルシウムの沈着)やアルカリフォスファターゼ活性が上昇することを確認した. また,LIPUSの影響を評価するラット口腔上皮細胞株ROE2において,小胞体ストレス(フッ化ナトリウムで誘導)によって誘導される遺伝子群を明らかにし,その中でDDIT3やHSPA5が細胞障害の誘導に密接に関与していることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は,新規に導入した超音波発生装置の効果を検討することに注力した.低出力パルス超音波 (LIPUS) の効果を安定させるにはもう少し検討が必要ではあるが,LIPUSの細胞増殖亢進効果を確認した.研究実績の概要に示したように,研究は概ね良好に進捗した.
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今後の研究の推進方策 |
3.ウロコ組織モデルにおける発現の解析 キンギョのウロコは骨形成・再生の非常に有用な組織モデルである.骨の分化等に関連する候補遺伝子の発現をリアルタイム定量的PCR 法で確認する.また,骨芽―破骨細胞相互作用に重要なRanklや Opgの発現を調べる.さらに,in situ hybridization 法を用いて,組織レベルで遺伝子の発現量や発現部位を明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
現有する試薬類や培養器具を使うことができたので,研究費の使用が予定金額よりも少なかった.これにより,次年度の繰越金が発生した.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度,研究を実施するために,以下の使用を予定している.試薬類:700千円,培養器具類:300千円,抗体類:420千円,遺伝子発現解析試薬類:2000千円,旅費:200千円,謝金:100千円,その他(論文投稿料):200千円.
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