研究課題/領域番号 |
26560208
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
出口 真次 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30379713)
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研究分担者 |
上野 裕則 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (70518240)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ストレスファイバー / 細胞バイオメカニクス / メカノバイオロジー |
研究実績の概要 |
初年度は電子顕微鏡観察用のカーボン支持膜付き金グリッドに細胞を培養するための条件出しを行った。タンパク質研究等で利用される銅製グリッドを細胞培養に適用する場合には細胞毒性が現れるために、金グリッドを採用した。細胞収縮およびintegrinを介した細胞・基質間の接着力が強い胎生血管平滑筋細胞A7r5細胞を用いることにした。グリッドをピンセットによって物理的に操作することが容易となるように、グリッドはポリジメチルシロキサンコーティングを施したポリスチレン細胞培養ディッシュ上に貼り付けた。観察対象となるactin stress fiberとの混同を防ぐために、細胞外マトリクス(凝集して線維束構造を有する可能性がある)のコーティングは行わなかった。ただしグリッドを酸素プラズマによって表面処理を施し、親水性を高めた。この機能化グリッド上に細胞を播種すると、細胞の生存性に少なからず影響があり、コンフルエントに至らないことがわかった。ただし金グリッド上の、特にカーボン支持膜部のエッジ部分に沿って細胞が接着しやすく、かつ細胞が通常のシャーレと同様に形態が拡がる様子が見られた。アクチンと核を染色して倒立顕微鏡で観察した結果、グリッドに付着した細胞にはシャーレ上と同様な様態のstress fiberが発現していることが分かった。ただし、当グリッドの物理的捕捉に技術を要し、グリッドの一部をピンセットで変形させやすく、実際の電子顕微鏡による観察時に注意が必要であることがわかった。現在はこのグリッド上で化学処理を施し、ストレスファイバーをグリッドに接着したまま単離することに取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ストレスファイバーの構造観察に必要な、電顕グリッド上におけるストレスファイバーの単離の成功に至っていない。ガラスディッシュ上におけるストレスファイバーの単離の方法はおよそ確立できており、この従来方法を本グリッド系に適用する方法を検討している段階である。
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今後の研究の推進方策 |
現状でも電顕グリッド上において生理的な様態で発現するストレスファイバーは得られており、単離過程時の溶液付与の方法を工夫することによってストレスファイバーの単離ができるものと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の一部がわずかに遅れており、そのため予定していた試薬のごく一部を購入できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は試薬一つ分であり、実験の進展に合わせ、必要となった段階で速やかに購入して研究を進める。
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