熱の輸送は生命現象解明に極めて重要である。熱耐性の異なることが知られるがん細胞と正常細胞の熱物性の違い、体温調整の中心的な役割を果たす血管壁面伝熱構造の加齢による変化など興味は尽きない。μmオーダー構造寸法を有し、数℃の温度上昇が変性を引き起こしてしまう可能性がある生体細胞・組織の、伝熱物性計測が可能となる新しい手法の実証を目指した。目標としていた1μsの過渡現象に対する0.001Kオーダーでの計測安定性を原理的に実証できた。10日間の長期評価においてもΔ50ppm以内であり、細胞培養期間に相当する長期のモニタリングへの適用も視野に入る。
|