研究課題/領域番号 |
26560227
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
麻生 隆彬 大阪市立大学, 複合先端研究機構, 特任講師(テニュアトラック) (50548378)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 構造色 / センシング / 刺激応答性 / 周期構造 / 階層化 |
研究実績の概要 |
視野角依存性を持たない刺激応答性のフォトニック結晶を周期構造の階層化によって作製することを目的とした。従来のアモルファス構造によるフォトニック結晶と比較して、発想を逆転し、むしろ周期構造を階層化させることで実現可能であると仮説を立てた。一つ目の周期構造として、ブロック共重合体のラメラ相分離膜を作製し、構造色が発現することを確認した。また、そのラメラ薄膜のイオン強度応答性、溶媒応答性を確認し、外部刺激によって色調が変化しうることを確認した。二つ目の周期構造として、直径30-100マイクロメートル程度のガラスビーズをガラス基板に固定した。この時、ガラスビーズの曲率を損なわずに固定するよう溶融温度を調節した。二つの周期構造を階層化するために、種々検討を重ねてガラスビーズ集積体上にラメラ薄膜を形成すること、すなわち、ラメラ薄膜に曲率を持たせることに成功した。構造色の視野角依存性を調査した結果、曲率を持ったラメラ薄膜の構造色は、平面基板上に形成したラメラ薄膜の構造色と比較して、角度依存性が低減されることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
周期構造が階層化されたフォトニック結晶をガラスビーズとブロック共重合体の相分離に伴う階層化を一段階で作製する予定であった。しかし、曲率を持ったラメラ薄膜の構造色が視野角依存性を低減する仮説の検証実験に重きを置いたため、今年度は二段階の作成手法をとった。つまり、ガラスビーズを基板上に配列させて固定すること(一段階目)、次にその曲率面にラメラ薄膜を形成すること(二段階目)によって複合膜を作製した。そのため、平成26年度に予定していた計画が遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
検証実験により基本的な仮説は実証できたことから、平成27年度に遅れを取り戻せるものと期待している。したがって、①今後はフォトニック結晶の一段階での作製、②刺激応答性の付与を同時に検討する。フォトニック結晶の一段階作製を検討しながら(①)、二段階で作製した複合膜に対して刺激応答性を付与を実施する(②)。刺激応答性として、ラメラ薄膜にグルコース応答性部位を導入する。グルコース濃度依存的な色彩変化を定量的に評価する予定である。これらの結果を一段階合成したフォトニック結晶にフィードバックする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の萌芽性を証明するために、検証実験に重点を置いて検討を重ねた。実際仮説は証明されたものの、研究計画自体が遅れている。したがって、試薬等の消耗品費、学会参加のための旅費等を使用が少なかったため、請求金額に差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究は遅れているものの、研究の方向性には変更がないため、計画的に遂行できると考えられる。特に薄膜への刺激応答性の付与など合成試薬を多く使用する。まった、基礎的知見は徐々に収集されているため、成果の報告を学会で行う予定である。したがって、試薬購入、成果発表のための旅費などに用いる。
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