研究課題
本年度は、主にナノ薄膜への薬剤徐放機能の搭載を検討した。光硬化性ポリエチレングリコール(PEG)のプレポリマー溶液に薬剤を含浸させたコラーゲン微粒子を混合し、UV照射することで薬剤徐放シートを作製した。蛍光顕微鏡観察からシート内にコラーゲン微粒子が均一に分布していることが確認された。また、走査型電子顕微鏡観察からシート表面に露出していることが確認された。シート内のコラーゲン微粒子量は、プレポリマー内のコラーゲン微粒子濃度が増加するに伴い線型的に増加した。このシステムにおいては、シート内のコラーゲン微粒子ネットワーク内を薬剤が拡散し、シート表面に露出している微粒子を介して薬剤が徐放される。モデル薬剤として蛍光標識したアルブミン(FITC-アルブミン)をシートに搭載してin vitroで徐放試験を行ったところ、FITC-アルブミンが4週間以上に渡って徐放されることが確認された。一方で、コラーゲン微粒子を介さずにシート内に直接FITC-アルブミンを封入した際には、シートからのFITC-アルブミンの徐放はほとんど認められなかった。ラット眼球の強膜上に薬剤徐放シートを移植し、1週間ごとに眼球を摘出して蛍光を観察したところ、4週間後にも強膜および網膜から蛍光が検出され、シートから薬剤が網膜に移行していることが確認された。今回開発した薬剤徐放シートは、今後、バイオ医薬品を局所徐放可能なシステムとしての展開が期待できる。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 産業財産権 (1件)
J. Biomed. Mater. Res. B Appl. Biomater.
巻: in press ページ: in press
10.1002/jbm.b.33522
J. Mater. Sci. Mater. Med.
巻: 26 ページ: 230
10.1007/s10856-015-5561-9