水晶体嚢内で安定して人工水晶体を存在させる為に,ゾル状態の2種類の高分子鎖末端に反応性官能基を有するマルチアーム親水性高分子を水晶体嚢に注入する直前に注射器内で混合し,注入直後に嚢内で高分子末端間化学架橋ゲルを形成させる新たな方法論を開発した。ゲルを無機ナノ粒子と融合化させる,具体的には無機ナノ粒子としてかご型シルセスキオキサンを高分子網目に共重合することで,水晶体の有する屈折率1.43を達成した。さらに,この方法論で形成されたゲルは,細胞毒性がなく,水晶体嚢を隙間なく充填するために,後発白内障の発症を抑えることが出来た。白色家兎へのインプラント後6ヶ月の調節力の保持も確認できた。
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