研究課題
本研究では、アテロコラーゲンゲルから作製したアセルラーシートを用いて、軟骨細胞シートの作用機序の検討並びに軟骨細胞シート作製時と移植時の操作性向上の検討を主たる目的として、アセルラーシートを細胞シートと併用した際の有用性を動物実験で確認し、さらに将来的な医療材料候補としての検討を行うため、関節軟骨並びに関節内周囲組織との接着性の検討とアテロコラーゲン細胞シート複合体の安全性に関してのフィージビリティスタディを行うことを目的とする。平成26-27年度の研究から、家兎膝全層欠損モデルを用いたアセルラーシートの関節内移植では、アセルラーシート移植による炎症徴候や癒着等は確認されず、またアセルラーシートの単独移植(細胞の効果を除去した状態)において十分とは言えないがある程度の修復が認められることが分かった。これは、アセルラーシートが欠損部表面を被覆したことにより改善が得られたと考えられる。一方、アセルラーシート+細胞シート併用群では著明な修復効果が認められた。これらの結果から、細胞シートとの併用による治療効果、安全性が示唆された。また、細胞を用いないTGF-β1含浸アセルラーシートの治療効果の検討では、アセルラーシート移植群、TGF-β1含浸アセルラーシート移植群は、共に非治療群に比べ修復効果を認めた。TGF-β1含浸アセルラーシート移植群は欠損部表面を被覆したことによる修復効果にTGF-β1の徐放効果が加わったことで、より組織修復の改善が認められたと考えられた。アセルラーシートにTGF-β1などの液性因子を含浸・徐放させることで治療効果を増強する可能性が示唆された。最終年度である平成28年度は、3年間の一連の研究を論文として纏めJournal of Biomedical Materials Research Part B: Applied Biomaterials誌で発表した。
すべて 2017
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J Biomed Mater Res B Appl Biomater
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10.1002/jbm.b.33792