シスプラチン内包高分子ミセル(CDDP)を用いた化学療法と陽子線治療を融合した化学粒子線治療技術の開発を目的として、担がんマウスによる治療実験を実施した。実験の結果、陽子線の単独治療やCDDPの単独治療に比べて、併用治療では、腫瘍増殖遅延効果を増強することが示された。また、その効果は相加的であることが認められた。一方、腫瘍組織および正常組織内におけるCDDP薬剤濃度を、粒子誘起X線放射(PIXE)法を用いて分析し評価した結果、CDDPの正常組織へ送達は抑制的であり、腫瘍血流を通じて腫瘍組織へCDDPが選択的に送達され、併用治療において顕著な増殖遅延をより低副作用で誘発することが示唆された。
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