研究課題
本研究では、従来にない新しい治療法の提案として、体内深部にある患部に対して低侵襲的にアプローチし、治療有効性が示されているTHz(テラヘルツ)派の精密照射による治療法創出を目指した。具体的には萌芽的な研究として、デバイス先端部で微小機構を有するロボティック柔剛可変外套管の開発および、その中を通る光ファイバによるTHz波伝送およびファイバ伝送されたレーザの精密照射技術の開発および基礎評価を研究期間内の目的とした。THz波照射の治療効果はまだ研究が緒についたばかりであるが、治療法自体が大きく期待されている中で、体表に照射する治療しか行えない現状があり、体内深部へ安全に導入することは従来出来なかった。そこで具体的には低侵襲的に体内深部に挿入可能でかつ、ファイバから照射されるレーザの方向を制御可能な治療デバイスのプロトタイプを開発することを目的とする。本年度はジャイロトロンによるTHz波の生成システムの開発を進めると同時に、ロボティック柔剛可変外套管デバイスのプロトタイプ開発・評価を行い最終年度としてまとめた。柔剛可変機構については先行研究の改良試作を繰り返し、4本の鋸歯状リンクを組み込んだ直径15mmのデバイスを試作した。また、THz伝送用ファイバとしてポリメチルメタクリレートからなる外形約3mmのファイバを用い、剛性評価をした後、デバイス先端部で上下25度の首振りが出来る機構を試作した。上下の首振りはワイヤにより向きを制御した。また、直径3.9mmの軟性内視鏡を組み込むことで、柔剛可変機構を持つ内視鏡かつ先端部でレーザ照射位置を変えて照射するデバイスを実現した。またさらに、軟性内視鏡の画像伝承とレーザ照射を同軸で行う機構開発に取り組み、in-vitroによる照射実験を行った。試作機では、レーザパワー788mW/cm2、レーザ照射効率2.44%で照射位置決め精度0.67mmを実現し、臨床に適応可能であることを確認した。
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