研究課題
本研究の目的はホウ素中性子捕捉療法において、エネルギーの異なる中性子及びガンマ線の混在場に適応可能な遮蔽材を開発することと、新しい中性子測定手法を用いてその遮蔽効果を評価することである。照射される患者の体の各位置において中性子エネルギースペクトルとガンマ線線量率が異なることからそれぞれの位置で、それぞれの中性子エネルギーに適した遮蔽材の組み合わせを導出する必要がある。加速器中性子源に対して、各位置における中性子エネルギースペクトルを明らかにし、遮蔽材の最適化を行い、フッ化リチウム含有ポリエチレンを原料とする中性子遮蔽材の粒径をできるだけ小さくすることで、中性子に対する遮蔽能力が向上することを確認することができた。フッ化リチウム含有ポリエチレンの粒を吸引バックに封入した、脳腫瘍、頭頸部、体患部用の自由に変形可能な遮蔽材に対して、遮蔽能力を確認した。人型ファントムに対して本遮へい材を適応し、窒素線量およびホウ素線量に関しては70%線量を減少させることが分かった。また高速中性子に起因する水素線量は50%減少可能であることを確認し、本研究で開発した自由に変形可能な遮蔽材の有効性を確認することができた。一方、新しい中性子測定手法として、放射化箔とイメージングプレートの組み合わせを提案した。熱中性子に対しては金の放射化法とよく一致することを確認することができた。また、高速中性子に対してはアルミニウムの放射化箔を用いて照射試験を実施し、中性子分布を取得することに成功した。
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Review of Scientific Instruments
巻: 88 ページ: 56101
https://doi.org/10.1063/1.4982036