研究課題/領域番号 |
26560269
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
佐藤 成登志 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (00440470)
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研究分担者 |
小林 量作 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (00350736)
山本 智章 新潟医療福祉大学, その他部局等, ロコモティブ症候群予防研究センター副セン (30445902)
地神 裕史 国士舘大学, 理工学部, 准教授 (30468970)
古西 勇 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (70367431)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 腰部多裂筋 / 筋血流 / 非特異的腰痛 |
研究実績の概要 |
本研究は、腰痛全体の85%を占めている非特異的腰痛の原因と考えられてる筋・筋膜の内、特に背側の深部に位置する多裂筋に着目している。腰痛患者の多裂筋は、疲労し易く、持久力が低下し、筋活動が低下し易いために、筋のタイトネスを引き起こし、筋組織の内圧上昇や血流障害を生じさせる。そこで本研究は、健常者および腰痛者における多裂筋の筋血流に着目して進めてきた。既存の機器を用いて、動作(体幹前屈・後屈・回旋など)時における筋血流動態を測定し、前屈(前かがみ)特に持続的な前屈において血流が変動することがわかった。さらに腰痛既往のある者では、その変動が顕著であることがわかった。さらに、簡便かつ非侵襲的な超音波診断装置を用いて多裂筋の深部の厚さを超音波診断装置で確認した結果、表層から椎間関節までの筋の厚さは平均30mm程度であることが確認できた。当初計画していたニードルセンサによる測定は、計画通り進めることができず、さらに、脊柱後彎変形のある患者では、歩行など移動動作において痛みを誘発させるため、従来の有線の機器では限界があった。その後、某企業による機器開発によって、ようやく目的とする研究をさらに進めることができた。腰部多裂筋に加えて近隣の筋の筋血流動態も測定したり、歩行や持続的な動作時の筋血流動態も確認できている。さらには、筋血流以外の腰痛に関係するであろう要因を病態・機能面から並行して調査している。その結果は学会や論文を通じて発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、健常者および腰痛者における多裂筋の筋血流に着目し、1)各動作時の筋血流を明らかにすること、2)健常者と腰痛者における筋血流の違いを明らかにすること、を目的として進めてきた。多裂筋は、20~30mmの深部に筋線維があるが、さらに40~50mmにも筋線維があることから、既存の測定機器では限界があり、ニードル型センサーの改良を検討してきた。しかし、精度や侵襲性の問題等で計画通り進めることができなかった。さらに、脊柱後彎変形のある患者では、歩行など移動動作において痛みを誘発させるため、従来の有線の機器では限界があった。その後、某企業によって携帯型近赤外線組織酸素モニタ装置が開発され、ようやく目的とする研究をさらに進めることができた。近年、超音波診断装置を用い簡便かつ非侵襲的に筋の位置関係や状態を確認することができるようになった。そこで再度、多裂筋の深部の厚さを超音波診断装置で確認した結果、表層から椎間関節までの筋の厚さは30mm程度であることが分かった。椎間関節下にも一部筋線維があることが考えられるため、表層から30~40mmの筋血流動態が確認できればと考えている。新しい機器は、30~40mm深部の筋血流動態の測定が可能であり、既に健常者や腰痛者における動作・歩行時における筋血流動態を確認できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、申請者が研究フィールドとしている慢性腰痛・せぼね変形外来の患者さんを対象に動作・歩行時の筋血流動態の測定を進める。腰部多裂筋に加えて、隣接の深部にある最長筋・腸肋筋も同時に測定して検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
測定機器導入の問題や筋動態の確認に時間を要し、予定していた研究計画が遅れることにより、そのデータ処理に関する人件費およびその成果物である論文経費を使用できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
申請者の行っているフィールドにおいて、早急に追加測定を行い、データ処理および成果発表を計画的に行う予定である。
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