研究課題/領域番号 |
26560270
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山本 景一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授(常勤) (70416387)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | レギュラトリー / 国際ハーモナイゼーション / 治験 / 臨床試験 / コンピュータシステムバリデーション |
研究実績の概要 |
本研究は、アカデミアにおけるGCP分野のコンピュータシステムバリデーション手法の確立を目的としている。 国立循環器病研究センターにREDCapというElectronic Data Captureシステムを導入し、バリデーションを実施したが、その内容を日本臨床試験学会誌に論文投稿を行った。また、大阪大学医学系研究科臨床統計疫学寄附講座に異動した後、2月8日にREDCapの国際シンポジウムを実施し、国内への普及活動を実施している。その普及活動の一環として、Japan REDCap Consortium(JREC)を立ち上げた。JRECでは、教育・導入・運用・イベントその他の分科会活動を実施するが、その中で、バリデーション・規制適合分科会を立ち上げる予定である。4月23日に、全国8大学からREDCap導入の主要メンバーを募り、JREC第1回コアメンバー会議を開催した。その際、バリデーション・規制適合分科会設立の説明を行い、参加者を募っている。 加えて、国際製薬技術協会(ISPE)のGAMPフォーラムに参加し、スマート・ウエアラブルデバイスのバリデーション手法の議論に参加した。4月17日開催のISPE年次総会において、"Smart/Wearable Devices Applied to Clinical Research – Are You Ready to Validate Them?"という演題で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
JRECが立ち上がり、第1回コアメンバー会議を招集し、全国の8大学から実務担当の研究者が集まり、議論を行った。今後、運用・教育・導入、その他の複数の分科会を設立し活動を開始するが、バリデーション・規制適合分科会も含まれ、REDCapのバリデーションについて議論を開始する。 我が国で、JREC以外に、アカデミア主導の臨床研究システム運用に特化したコンソシアムは存在しない。また、アカデミアにおけるコンピュータシステムバリデーション手法をオープンに議論できる場も存在しない。その意味では、JREC設立の意義は大きく、おおむね順調に推移していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
JRECの規制適合・バリデーション分科会を立ち上げることを計画しており、JRECに参加した大学で、共同(グループ)バリデーションを実施したい。アカデミアの場合、製薬と異なり人材も予算も乏しいため、製薬業界で実施されているバリデーションと同じことはできない。そこで、JRECで、新機能検証・バリデーション文書作成・テスト手順その他を共有化することで、アカデミア全体としてのコスト削減ができないかと考えている。 具体的には、米国REDCapコンソシアムに、Regulatory (21 CFR Part 11, HIPAA) and Software Validation Committeeがあり、既にバリデーション文書が公開されている。 この資料を元に、日本のレギュレーションに合わせた形でのバリデーション実施を検討したい。以下の手順で実施することを検討している。 ①USコンソシアムのReguratory文書を全て入手し、レビュー実施、②日本のレギュレーションに適用した場合の不足事項があれば、USコンソシアムと協議、③厚労省への申請を前提として、JRECとして、以下の内容についてディスカッションを行う(文書の日本語化、REDCapの据付時(IQ)、稼働時(OQ、PQ))テスト標準の作成、各施設でのバリデーション体制の雛形の作成) 加えて、形式手法その他の新しいテスト技法のバリデーション活動への適用を検討したい。 また、GAMPフォーラムでのスマート・ウエアラブルデバイスへのバリデーション手法の検討も、さらに議論を深めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、JRECでバリデーション・規制適合分科会立ち上げに注力していたため、バリデーションの実作業は発生しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降、JRECにおいてバリデーション活動を行う。その際のバリデーション実施、文書作成、翻訳等に費用を掛ける予定である。
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