研究課題/領域番号 |
26560271
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
上月 正博 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70234698)
|
研究分担者 |
伊藤 修 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00361072)
三浦 美佐 筑波技術大学, 保健科学部, 准教授 (30612014)
森 信芳 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50463790)
長坂 誠 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (70375062)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 慢性腎不全 / 糖尿病 / 慢性腎不全 / 慢性心不全 / 房室ブロック / ペースメーカー / 血液透析 / 電気刺激 |
研究実績の概要 |
慢性腎不全を合併した慢性呼吸不全や慢性心不全患者では、交感神経活動は亢進し、運動耐容能の低下を惹起し、日常生活動作を低下させる。下肢電気刺激療法は身体機能改善に有効であることが知られているが、血液透析(以下HD)中の下肢電気刺激による即時効果および長期効果は不明であり、原疾患別に検討した報告はない。そこで、HD中の心不全・呼吸不全患者に対する下肢電気刺激療法による心臓自律神経機能の即時的および長期的効果の有無を検討した。対象は、本研究について説明し、文書で同意が得られた維持HD患者2名(慢性糸球体腎炎でⅢ度房室ブロックによりペースメーカー埋め込み術後の症例A、慢性気管支喘息および慢性心不全、糖尿病を合併する症例B)に対し、週2回、透析中にポータブル電気刺激装置(Cefer社製RehabX2)を使用し、1回あたり60分、週2回、12週間の下肢電気刺激を行った。刺激部位は両側大腿四頭筋および下腿三頭筋、刺激強度は各人の疼痛閾値以下とした。本試験介入前(0週)と介入後(12週)のそれぞれの電気刺激前後で、副交感神経の指標としてHF、交感神経活動の指標としてLF/HF、酸化ストレス消去活性の指標としてRO消去活性を測定し、その結果を比較検討した。本研究は筑波技術大学 医の倫理委員会の許可を得た後に実施した。その結果、0週時電気刺激時前と比較して0週時電気刺激後では症例AではHFは極めて上昇し、LF/HFも上昇した。症例BではHFは上昇し、LF/HFは低下した。0週時電気刺激前と比較して12週時電気刺激前では症例A,BともHFは上昇、LF/HFは低下した。酸化ストレス消去活性もそれに伴い改善していた。以上の結果から、慢性腎不全に併発した慢性心不全患者、呼吸不全患者に対するHD中の下肢電気刺激には、即時的には副交感神経活動亢進効果が、長期的には副交感神経機能亢進効果と交感神経活動抑制効果および酸化ストレス消去活性効果があることが示唆された。
|