研究課題/領域番号 |
26560274
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中村 仁洋 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40359633)
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研究分担者 |
大賀 辰秀 公益財団法人冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (00724022)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脳損傷 / 注意・意欲 / リハビリテーション / 金銭報酬 |
研究実績の概要 |
注意障害や意欲低下を呈する脳損傷患者を対象に、リハビリテーションプログラムの中に、食事摂取サイクルの操作や一定の金銭報酬付与によるインセンティブを実験的に導入することで機能改善を得られるかどうか、行動分析やMRIによる病巣解析などの指標を用いて検証する。これらの実験の実施に当たっては、事前に行動課題についての詳細な検討が必要となるため、初年度は行動課題の準備・策定と、若年健常人を対象とした試験データの収集・解析を進めた。これと並行して、脳損傷患者からのデータ収集に最適な実験環境の整備と技術的問題に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
視覚性注意課題の遂行における報酬刺激の効用について、先行研究を参考に刺激材料や実験提示条件、課題の内容などについて検討した。また視線追跡計測機器と併用するための準備作業を行いつつ、試験的に作成した行動課題について健常被験者からデータ収集を行った。脳損傷患者を対象とした臨床介入研究であるため、研究の趣旨について倫理委員会への説明と承認を得るのに、当初予定していたよりやや時間を要した。この間には、行動実験の対象となる意欲・自発性低下を呈する症例の脳損傷部位との関連についても、画像データと神経心理検査の成績を参考に、具体的な包含基準について検討を行い、計画が遅滞しないよう努めた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の2年目となる今年度は、これまでの作業で確立した計測環境と実験課題を用いて若年健常者を対象として行動実験データの収集・分析を行い、行動実験としての安定性・有効性を確認し、比較対照となる標準データを構築する。倫理審査も既に完了しているため、年度後半からは、被験者集団を老年期まで拡大して、報酬刺激と視覚性注意との関連について比較対照となる標準データを構築する。これに基づいて、高齢の被験者に合わせた実験条件の調整を行ったうえで、脳損傷患者からも行動実験データを収集する。行動成績と損傷部位との関連については、MRI画像データを用いた病巣マッピングを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
脳損傷患者を対象とした臨床介入研究であるため、研究の趣旨について倫理委員会への説明と承認を得るのに、当初予定していたよりやや時間を要した。また視線追跡計測機器と併用するための準備作業を行いつつ、試験的に作成した行動課題について健常被験者からデータ収集を行った。これらの作業段階での遅延があり、全体として謝金支出に残額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
これまでの作業で確立した計測環境と実験課題を用いて若年健常者から老年期までの被験者集団について、報酬刺激と視覚性注意との関連について比較対照となる標準データを構築する。これらのデータ収集と解析に際して、主に謝金への支出、中間結果の学会発表などを計画している。
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