研究課題/領域番号 |
26560280
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
高木 都 奈良県立医科大学, 医学部, 特任教授 (00033358)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | リハビリテーション医学 / 再生医療 / 脊髄損傷モデル / 薬物治療 / 5-HT4受容体 |
研究実績の概要 |
最近発見した排便反射を促進する作用を有する低分子化合物5-HT4刺激薬、クエン酸モサプリドが腸壁内神経系再生促進剤として用途特許(5089556号)を取得した。そこで、多領域にわたる神経の再生・新生作用の可能性とそのメカニズムを明らかにし、その制御の可能性を可能にするための基盤となるエビデンスを得る事を目指した。 本研究では軽度の脊髄損傷ラットモデルにおける損傷した脊髄神経の再生・機能回復をクエン酸モサプリドがもたらすかどうかを検討するために、まず、下肢の運動機能障害を起こすが、排尿機能障害までは起こさない軽度な脊髄損傷モデルラットの作成をめざした。第12腰髄(Th12)を動脈瘤クリップで圧迫する。再現性のよいモデルを完成するためには、かなりの試行錯誤が必要であった。動物行動学的検索と脊髄神経の組織学的検索から目的とする軽度の脊髄損傷モデルを開発することをめざした<非治療例とする>。 軽度の脊髄(Th12)損傷モデルラットを作成した。脊髄損傷を与える方法は基本的にはSaruhashiら(Arch Orthop Trauma Surg 129: 1279-1285, 2009)の論文を参考に、動脈瘤クリップ(150g)による圧迫によって行った。 しかし、論文通りの条件では脊髄損傷を与えることができなかったので、基本的なところから再検討する必要があった。すなわち、圧迫刺激の時間を3-10秒程度まで変えて、脊髄損傷が起これば生じるであろう下肢麻痺、歩行障害(排尿は自力で行う)がどの程度起こり、どの程度の期間で回復してくるかを経過観察した。 しかし、今年度においてはコンスタントな結果が得られず、軽度の脊髄(Th12)損傷モデルラットの作成にいまだ成功していない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
軽度の脊髄(Th12)損傷モデルラットを作成する。脊髄損傷を与える方法は基本的にはSaruhashiら(Arch Orthop Trauma Surg 129: 1279-1285, 2009)の論文を参考に、動脈瘤クリップ(150g)による圧迫によって行った。 圧迫する時間を、論文通りにしたのでは脊髄損傷を与えることができなかったので、基本的なところから再検討する必要があった。従って圧迫時間をいろいろ変えてみた結果、脊髄損傷による機能障害の程度はコンスタントではなく、軽度の脊髄損傷モデルを作るのに非常に難渋した。 そのため研究の目的の達成度がやや遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
軽度の脊髄損傷モデルを作る方法を根本から見直し、麻酔薬もネンブタールから吸入麻酔薬のイソフルレンに変えて手術を行う予定である。生存した例では、術後2週間後、Th12付近の脊髄を摘出したのち、ホルマリン固定後パラフィンブロックを作成して、切片を作成し、トルイジンブルー等で染色し組織化学的な検討も合わせて行う。その結果を見ながら軽度の脊髄損傷モデルを作る方法をさらに検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験がなかなかうまく行かずに進まなかったために研究費の使用が少なかったため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、モデル作りを基本から考え直していろいろと取り組むので動物実験に必要な経費を中心に研究費を使用する計画である。
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