漢方薬や生薬は複数組み合わせて服用できることから複数のメカニズムをターゲットとして筋萎縮を抑制する可能性が期待される。生薬Aは、遅筋線維優位なヒラメ筋の筋重量の低下を抑制することが報告されている。そこで本研究は生薬Aがギプス固定によって生じる筋萎縮に与える影響を筋線維タイプ別に検討することを目的とした。10週齢の雄性F344ラットを対象とした。筋萎縮モデルとして14日間のギプス固定を用い、ギプス固定の7日前から21日間、生薬Aの煎薬を強制投与した。14日間のギプス固定終了後、ヒラメ筋、足底筋および腓腹筋を摘出し、筋重量、筋線維横断面積、筋線維タイプ構成比、筋萎縮関連遺伝子発現量を分析した。その結果、生薬Aはギプス固定によって生じる遅筋線維優位なヒラメ筋の萎縮をユビキチン・プロテアソーム系の抑制を介して部分的に抑制するが、速筋線維優位な足底筋の萎縮は抑制しないことが示唆された。
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