研究課題
中枢性神経障害による痙縮に対するボツリヌス毒素療法およびリハビリテーションの効果を明らかにするために、脊髄損傷患者や脳血管障害患者、痙性麻痺を呈する神経難病患者、脳性麻痺患者にボツリヌス毒素療法とリハビリテーションを実施して、痙性麻痺の軽減と運動機能回復の度合い、および画像の変化や心理的側面の変化を検討した。選定条件に基づいて対象となる患者にボツリヌス毒素療法単独、リハビリテーション単独実施群、ボツリヌス毒素療法にリハビリテーションを併用した群を比較した。ボツリヌス毒素の投与により脊髄損傷患者および脳血管障害患者、神経難病患者、脳性麻痺患者の痙性は臨床的評価の結果、明らかに他覚的な改善を認めた。また、ボツリヌス毒素療法単独よりもボツリヌス毒素療法に装具療法や歩行訓練、日常生活動作訓練を中心としたリハビリテーション治療を組み合わせることにより、疼痛スコア、歩行能力などの下肢機能、更衣・整容などの上肢機能の明らかな臨床的改善を認めた。さらに、社会活動への参加などの生活の質(QOL)に関する評価や抑うつ尺度などを用いた心理的側面の評価も、ボツリヌス毒素療法単独よりもボツリヌス毒素療法にリハビリテーション治療を併用することにより、明らかな臨床的な改善効果を認めた。一方、画像評価では発症後と比較してもボツリヌス毒素療法単独およびボツリヌス毒素療法にリハビリテーションを併用しても、脳・脊髄レベルで明らかな変化を認めることはなかった。以上、ボツリヌス毒素療法とリハビリテーションの併用は、脳および中枢神経系の可塑性を促して身体機能を改善させる可能性が示されたが、今回の検討では画像診断上の中枢神経系の可塑性を促す知見を得ることはできなかった。
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