研究課題/領域番号 |
26560293
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研究機関 | 吉備国際大学 |
研究代表者 |
川浦 昭彦 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (00177643)
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研究分担者 |
北村 佳久 岡山大学, 大学病院, 准教授 (40423339)
秋山 純一 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (00309600)
水谷 雅年 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (30108170)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 活性型ビタミンD3 / 抗うつ活性 |
研究実績の概要 |
うつ病に対するビタミンDの効果を「基礎実験」により実証するために本研究を計画した。平成26年度の結果をふまえて平成27年度ではマウスの匹数を増やし、1α(OH)D3の投与量を増量して検討した。 ICR系雄性マウス40匹を用い、種々の濃度の、活性型ビタミンD3の前駆体である1α(OH)D3を投与した後、抗うつ活性評価法の一つである強制水泳試験を5分間行い、その間の無動時間を測定することにより、1α(OH)D3の抗うつ活性の有無を検討した。覚せい剤や抗コリン作用薬にも同様の無動時間を短縮させる効果のあることが知られている。1α(OH)D3と覚せい剤や抗コリン薬を比較するために自発運動の差をみるオープンフィールド試験を施行した。さらに抗うつ活性のメカニズムが脳内BDNFレベルを変化させることによるものか否かについて、以前予備実験で行った摘出ラットの全脳でGDNFと同様に海馬などで分布が確認されたBDNFの分量を分析キットによりsandwich ELISA法にて測定した。 今回、マウスの強制水泳試験により、1α(OH)D3は対照群と比較して、濃度依存的に、うつ病状態を反映する無動時間を短縮させる傾向を有することが示された。オープンフィールド試験の結果、1α(OH)D3では覚せい剤や抗コリン薬と異なり既存の抗うつ薬と同様に自発運動量の変化がみられなかったことから、抗うつ活性を有する可能性が示唆された。 今回の動物実験では抗うつ剤の投与で増加する全脳におけるBDNF量は、平成26年度のGDNF量と同様にビタミンDの投与では変動が認められなかった。よって、ビタミンDによる抗うつ活性は、BDNF,GDNFの関与以外のメカニズムにより発揮される可能性が考えられる。すなわち、ビタミンDはそれにより活性化されたセロトニンの合成を介して抗うつ活性を有する可能性があると推測される。
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