研究課題/領域番号 |
26560300
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
新関 久一 山形大学, 理工学研究科, 教授 (00228123)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 足圧中心 / 随意的制御 / 位相シンクロ / 筋活動 |
研究実績の概要 |
本研究では,足圧中心(Center of Pressure: CoP)の随意的な移動課題を用いた立位バランス能力評価システムを開発し,この手法の意義付けと有用性を明確にし,個人のヘルスケアに寄与する計測デバイスを開発することを目的としている。48×48 matrixのピエゾセンサからなるforce platformを用いて,PCのモニター上に被験者のCoPをリアルタイムで表示するシステムを構築した。モニターにはanteroposterior方向に動く目標が表示され,被験者はこの目標にできるだけ忠実に自分のCoPを合わせるよう指示された。目標が動く周期を4,6,8秒,移動振幅をセンササイズの15,20,25%に設定し,計9種類の条件で随意的CoP移動課題を各3分づつ課した。被験者は健常若年者7名である。目標とCoP間の位相コヒーレンス(λ)と振幅の差(Δν),ならびにそれらの変動係数を求めた。また,下腿部脛骨筋と腓腹筋の筋活動を計測した。目標の周期が長くなるとλが高くなり,Δνが拡大する傾向が見られた。λとその変動係数間に負の相関が認められ,λの減少は3分間の試行中の変動が大きいことに起因することが示唆された。一方,Δνとその変動係数には相関が認められなかった。目標の周期が短く振幅が小さい場合は反射的にCoPを調節しているものと予想され,一方,目標の周期が長く振幅が大きいとΔνが大きくなることからCoPを目標振幅に追随できないことが分かる。筋活動に関しては,目標周期が長いと脛骨筋と腓腹筋の拮抗筋が協同活動する傾向が見られたが,被験者間で一貫した結果は得られなかった。今後,課題条件を固定して年齢層の異なる被験者で実験を行い,判別分析により年齢依存性を調査するとともに,課題中の腰,膝,足関節角度を測定し,年齢によるCoP制御の違いを考察する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
26年度の研究計画に基づいて,ピエゾ素子からなるForce Platformを用いて,PC画面に足圧中心と目標値をリアルタイムで表示するシステムを構築し,若年健常被験者7名で足圧中心移動課題を実施した。足圧中心移動課題の周期と振幅の組み合わせを変えて,9種類の実験条件で,目標に対する位相追随性と振幅追随性について検討した。その結果,健常若年被験者における足圧中心制御の特徴を明らかにすることができた。研究成果はライフエンジニアリングシンポジウム2014で発表した。データ数がまだ十分ではないが,ほぼ研究計画に沿って進んでいると自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
若年者のデータ数を増やすとともに中高年被験者のデータを集める。若年者と中高年者の足圧中心目標値に対する位相追随性と振幅追随性ならびにそれらの変動係数をパラメータにして主成分分析を行い,得られた主成分を用いて判別分析を行うことで,中高年者と若年者の足圧中心移動課題における姿勢制御の差異を明らかにする。また,課題試行中の膝,腰,足関節角度の計測を行い,若年者と中高年者の足圧中心制御の違いを検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の設備備品購入計画として8チャンネルのデータ収録システムを購入する予定であったが,PCにUSB経由でデータを取り込むことができたため,データ収録システムの購入を控え,その代わりに映像から関節角度を解析することが可能な動作解析デジタイスソフトウェアの導入を図った。その差額が次年度使用額が生じた1つの理由である。また,国際学会で研究成果を発表する予定で研究を進めたが,解析が間に合わず学会出張旅費が未使用となった。今後,動作解析ソフトウェアを用いて若年者と中高年者の立位バランス能力を関節角度の動作範囲から検討する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
多変量解析によるコホート研究成果を国際学会で発表するための出張旅費,ならびに被験者謝金,消耗品費に充当する予定である。
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