近年,透析患者の運動療法として,透析中にペダリング運動を行っている施設が増えている.一般には,負荷量可変式エルゴメーター(SE)と電動アシスト付きエルゴメーター(AE)が利用されている.今回の目的は,健常者を対象として,SEとAEと座位の自転車エルゴメーター(BE)を用いて,負荷強度の違いと姿勢の違いが筋活動量にどのように影響するのかを比較,検討することである. 仰臥位用負荷量可変式エルゴメーター(SE)と自転車エルゴメーター(BE)および電動アシスト付きエルゴメーター(AE)を用いて姿勢と負荷量の違いによる筋活動量への影響を検討した.〔対象〕男子学生11名とした.〔方法〕SEとBEの負荷量は10W,20W,30W,43W(BEは44W),75W(BEは76W)とした.AEは自動運動のため,回転数を26回/分,50回/分,72回/分の3種類とした.筋電図より得られる内側広筋,大腿直筋,大腿二頭筋,前脛骨筋,腓腹筋外側頭,ヒラメ筋,脊柱起立筋,腹直筋の最大等尺性随意収縮(MVC)を用いて%MVCを求めた.〔結果〕BE,SEともに負荷量が上がると%MVCも上がる傾向にあった.BEと比較すると前脛骨筋,内側広筋,脊柱起立筋でSEの%MVCの平均が有意に低かった.AEについては,ほぼすべてのスピードにおいて,数%の筋活動量と低い値であり,スピードによる違いは認められなかった.〔結語〕SEは下肢の筋力増強トレーニングとして利用できる可能性はあるが,筋力低下のある透析患者での検討が必要である。
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