研究課題
慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease; COPD)を始めとする慢性呼吸器疾患において咳嗽は高頻度に訴える自覚症状であり、投薬や、呼吸リハビリテーションを実施する際の指標となる重要な他覚症状になる。しかしながらこれまでに咳嗽を定量化する技術は存在せず、主に医師による主観的評価が中心であった。本研究においてはメル周波数ケプストラム分析法を用いて咳嗽のアルゴリズム化を行い、咳嗽特徴の定量化、症状との関連を分析することを目的とした。研究参加者はCOPD患者10名であり、1ヶ月間の縦断測定とした。音響サンプリングレコーダーを用いて、毎日咳嗽をサンプリングした。この音響情報をメル周波数ケプストラム分析法を用いて数値化を行い、臨床症状(医師による聴診結果、体調変化質問紙;COPD assessment test (CAT)、Cough and Sputum Assessment Questionnaire (CASA-Q)の変化と比較し、その数値情報の臨床的価値について検討した。結果は咳嗽の絶対値分析を行った後に、トレンド成分⊿を考慮することで、今後病状がどのように変化していくかを、現在の咳嗽音声から予測した。⊿i=(i+1日の値)-(i日の値)この結果とCASA-Qによる臨床データと比較して、COPD患者における急性増悪における咳嗽変化予測が可能な定量評価が可能なことが明らかになった。この結果から、日常的な咳嗽測定する事で、病状増悪予測が可能である可能性があり、COPD患者を含む慢性呼吸器患者のセルフケアを促進する可能性が示唆される結果を得ることができた。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件)
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